和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月24日(火)

「歩き続けられる道守る」 紀南の魅力発信でシンポ

日本風景街道熊野のシンポジウムで和歌山県紀南地方の魅力発信をテーマに議論する各団体の代表(23日、和歌山県田辺市扇ケ浜の市立武道館で)
日本風景街道熊野のシンポジウムで和歌山県紀南地方の魅力発信をテーマに議論する各団体の代表(23日、和歌山県田辺市扇ケ浜の市立武道館で)
 和歌山県内の観光や環境保全の関係団体でつくる「日本風景街道熊野」によるシンポジウムが23日、田辺市立武道館(田辺市扇ケ浜)であった。各団体の代表が紀南の魅力発信をテーマに議論。「道の風景は歩く人がいてこそ価値がある。歩き続けられる道の保全が大事」と話した。

 パネルディスカッションには、田辺市熊野ツーリズムビューローの多田稔子会長、NPO花つぼみの古守一晶代表、語り部グループうた加楽衆(がらす)の小松勇二郎代表、大辺路刈り開き隊の上野一夫隊長が参加。日本みち研究所理事長で筑波大学名誉教授・特命教授の石田東生さんが進行役を務めた。

 日本風景街道熊野の歴史・ジオ部長でもある上野さんは「紀南はジオパーク(地質遺産)と暮らしが直結している。風景、文化がどうやって生まれたかを面白く伝えたい」、小松さんは「住んでいる人が楽しんでいることを発信することが大切。外国人や都会の人にとって紀南はオアシス。コロナ禍でより魅力的に感じられるはず」とガイドの視点で述べた。

 多田さんは「山道は歩かなくなると、すぐに山に戻る。観光にできるのは、歩く人を呼び込むこと。でも、文化的景観は人々の暮らしがないと守れない。一番大事なのは暮らしがここでできること」と保全の重要性を強調した。

 道路沿いや公園で花を植える活動を続ける古守さんは「まちづくり活動はどこも継続が大変。市内の花壇をそれぞれ自分の庭と考え、地域と協力して取り組む。挑戦心を持ち、諦めずに、きれいなまちを目指したい」と意気込みを語った。

 石田さんは「楽しく活動することが大事。実例をどんどんつくり、失敗を恐れず取り組んでほしい」とエールを送った。

 シンポジウムは動画投稿サイト「ユーチューブ」で後日、配信する。