和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2021年10月23日(土)

遠隔で高度な医療支援 近大と串本町立病院が実証実験

近畿大学病院の専門医の指導を受けながらエコー検査をする町立病院の医師(和歌山県串本町サンゴ台で)
近畿大学病院の専門医の指導を受けながらエコー検査をする町立病院の医師(和歌山県串本町サンゴ台で)
町立病院内のモニターに映された実証実験の様子を見守る田嶋勝正和歌山県串本町長(手前)と竹村司・病院事業管理者
町立病院内のモニターに映された実証実験の様子を見守る田嶋勝正和歌山県串本町長(手前)と竹村司・病院事業管理者
 「5G」という高速大容量の第5世代移動通信システムを使うことで、和歌山県串本町サンゴ台のくしもと町立病院と100キロ以上離れた近畿大学病院(大阪府大阪狭山市)がリアルタイムで映像を送受信し、町立病院の医師が大学病院の専門医の指導を受けながら胎児のエコー検査をする実証実験が22日あった。関係者からは「遠隔で高度な医療を受けられるのは画期的」と、都市と地方との医療格差の解消に期待する声が聞かれた。

 5Gを活用した遠隔医療支援によって、地域病院の医師不足をサポートしようという実証実験。近大とNTTグループで締結した包括連携協定に基づく取り組みで、近大病院の関連病院である町立病院が参加することになったという。

 NTTドコモが取り扱っている高画質な4K映像送伝システム「LiveU(ライヴユー)」を使ったが、この周辺ではまだ5Gが提供されていないことから、臨時にエリア化するための基地局車を病院に配備して取り組んだ。

 近大病院からは小児の先天性心疾患や胎児心臓エコーの専門家である稲村昇准教授らが参加。医師がエコーを当てる様子や胎児心臓エコーの映像はリアルタイムでやりとりされ、指導を受けながら検査に取り組んだ町立病院の有馬智之医師(35)は「リアルタイムでストレスなくやりとりをすることができた。最新の医療がここで受けられるのはすごいと思った」。検査を受けた町内の妊婦(23)も「遠隔で近大病院の先生と話もできてよかった。妊婦の安心につながると思う」と笑顔を見せた。

 実験を見守っていた病院開設者の田嶋勝正町長は「へき地ゆえになかなか医師が来てくれなかったり、高度医療を受けられなかったりするが、遠隔で医療支援を受けながら高度で適切な医療を受けられるのは画期的で、町民に安心を与えられる技術。実証実験はできたが、これをいかに現実のものにするかは、これからの取り組み」と意欲を見せた。町立病院の竹村司・病院事業管理者も「特殊な技術を持っていなくても、教える側が高度な技術を持っていれば専門的な画像診断ができるので、今後の過疎地の医療を埋めていく大きな材料になる。教育の面でもガイドをしてもらうことで熟練することにつながる」と期待を寄せていた。