和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月23日(月)

120年周期のハチク開花 竹やぶ各地で枯れる

県道沿いで枯れた竹やぶ。円内は枝先に咲いたハチクの花(和歌山県田辺市下三栖で)
県道沿いで枯れた竹やぶ。円内は枝先に咲いたハチクの花(和歌山県田辺市下三栖で)
 竹の仲間ハチクが開花して竹やぶが枯れるという現象が、和歌山県の紀南地方各地で起きている。植物に詳しい南方熊楠顕彰館(田辺市)学術研究員の土永知子さんは「ハチクは120年周期で開花するといわれ、今ピークを迎えている。開花には幅があり、ここ5、6年は続くと考えられる。この機会に竹の花を観察してみては」と呼び掛けている。


 例年この季節は、竹やぶは青々としているはずだが、高速道路や国道、県道沿いのあちらこちらで茶色く枯れた所が目立っている。田辺市下三栖では県道上富田南部線沿いで竹やぶが枯れて、枝先にはイネに似た地味な花がいくつも咲いている。国道42号や紀勢自動車道の沿線でも茶色くなった竹やぶがある。

 土永さんによると、ハチクが前回一斉に開花したのは、文献などから1900年代初頭であるとされ、研究者がそろそろ咲き始めるのではと予測していたという。予想通り、5年ほど前から全国各地で咲き始めた。

 土永さんは「ハチクは花が咲いても実がならない。枯死して全滅するのではなく、根が残っていて同じ場所で復活すると考えられている。一生に一度見られるかどうかの自然現象」とも話している。

 同じ竹の仲間、マダケの開花の周期も120年といわれ、1960年代に全国的に開花と竹やぶの枯死があり、竹材が手に入らなくなったという。このため、ざるや籠などの日用品が竹製からプラスチック製に置き換わる転機になったともいわれている。