和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2021年10月19日(火)

6農家の梅干し食べ比べ こだわりの詰め合わせ発売

和歌山県みなべ町や田辺市の6農家の白干し梅を詰め合わせたセット
和歌山県みなべ町や田辺市の6農家の白干し梅を詰め合わせたセット
 和歌山県みなべ町晩稲の梅加工販売会社「うめひかり」(山本将志郎代表)が、同町や田辺市の6農家が作った南高梅の梅干しの詰め合わせ「うめくらべ」の販売を始めた。いずれも梅のサイズや使った塩は同じで調味していない白干し梅だが、味は違うという。山本さん(27)は「梅も育つ土や気候、作り手によって風味が違う。梅農家のことを消費者に伝えたいという思いで商品化した」と話す。

 山本さんは晩稲の梅農家出身。北海道大学大学院に進み、がんの新薬の研究をしていたが、地元で農家の高齢化や後継者不足が深刻化している現状を何とかしたいと思い、梅の加工販売を始めたという異色の経歴を持つ。

 後継者が減るのは収入面だけでなく、やりがいが持てないことも要因にあるのではと考えた。多くの農家は塩漬けや天日干しをして「白干し梅」を作るまで関わるが、その後どこで誰に食べられているか分からないのが現状という。

 農家と消費者をつなげようと仲間とともに「梅ボーイズ」という名前で活動を始め、2019年、全国を軽トラックで回り、しそ漬けの梅干しを販売した。消費者は、梅干しには完熟して落ちた梅を原料に使っていることも、梅農家が塩漬けをしていることも知らないということが分かった。

 自分が農業をする目線で考えても、作った農家のことを知って消費者に食べてもらえれば、梅作りのやりがいにつながり、梅農家になりたいという人も生まれてくるのではないかと思った。そこで、商品に梅農家の情報を載せようと考えた。

 また、同じ白干しの梅干しでも、自分の家のものと他の農家のものとを食べ比べて、味が違うことにも気付いた。栽培環境などによって味が違うということを打ち出すと、農家の栽培面の楽しみも出てくるのではないかと思い、今回の商品化に至ったという。

 農家の兄の紹介で農家に声を掛け、6農園から100キロずつ出品してもらい、5月から販売を始めた。使用しているのは完熟南高梅と天日塩。塩分は約18~20%。1セットに、農園ごとに2Lサイズの梅干しが5粒、チャック付きの小袋に入っている。計30粒。

 「梅ボーイズ」のインターネットのホームページを通じて3480円(税込み、送料込み)で販売している。800セット用意したが、10日までに2割ほど売れているという。

 セットには、写真付きで6農家の案内も入れている。「地域で出た資源を土に戻す循環型農業に取り組んでいます」「自分の農園は実のなりが良くなかったので、苗作りから梅の栽培に取り組んでいます」「剪定(せんてい)に自分なりの美学があるので、ついつい細部にこだわってしまいます」などと、それぞれのこだわりも書いている。

 白干し梅を提供した農家の一人、同町西岩代の尾﨑慎哉さん(39)は「梅農家にはどんなこだわりがあって、こういう味が出るんだというように、消費者に伝わればよいと思うし、若手の生産意欲や産地の活気につながっていくことを期待したい」と話す。

 山本さんは「食べてくれたお客さんからも味の違いが分かるという反応があったし、次はうちの梅も使ってほしいという農家さんの声がある。これからも梅農家の楽しみになる商品を作っていきたい」と話している。第2弾は今年の年末向けの商品として、農家を変えて販売する予定にしているという。