和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年11月26日(火)

「緊急事態宣言から1年」

 新型コロナの感染拡大で政府が初めて緊急事態宣言を発令してから7日で1年。以来、感染者は増減を繰り返し、市民生活や経済に大きな影響を与えてきた▼今も感染は制御できず、大阪府では7日、1日では過去最多となる878人の感染が発表された。通勤などで往来の多い和歌山県もそのあおりで、7日には38人の新規感染者が判明。入院患者も189人に上った。ともに過去最多である▼県福祉保健部の野尻孝子技監は「強い危機感を持って対応しなければいけない」「恐れているのが院内感染や福祉施設内の感染。ここに広がると、医療がひっぱくする」と危機感をあらわにしている▼仁坂吉伸知事も、7日の会見で「(最近急増している)変異株の陽性者について、一定期間入院した後、自宅療養も可能とするよう、県独自の退院基準を設ける」と公表。県民には「家族以外とのカラオケも控えて」と要望した▼しかし、感染者が激増している大阪府の対策には口出しできないし、県境を封鎖することもできない。頼みの綱はワクチンだが、いまだにすべての県民に接種する見通しは不透明。出口の見当たらないのが現状だ。まずは一人一人が感染予防を徹底し、人混みに近寄らないことを心掛けるしかない▼先日、田辺市長は「歓送迎会を開いて地域の飲食店を応援しよう」と職員に求めたが、いまはその時期ではない。現実を踏まえた手段と支援が求められる。(石)