和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月19日(木)

白浜で昭和ロマンに浸る CFの返礼でノスタルジーツアー

見張り小屋の前で昔の写真を見ながら中川彩さん(中央・手を上げている女性)の話を聞く参加者=4日、和歌山県白浜町中で
見張り小屋の前で昔の写真を見ながら中川彩さん(中央・手を上げている女性)の話を聞く参加者=4日、和歌山県白浜町中で
 和歌山県白浜町の昭和を感じられる場所をバスで巡るノスタルジーツアーが4日に開かれた。町内の団体が、白浜のオンラインマップを作るためにインターネットで寄付を募ったクラウドファンディング(CF)の返礼品として企画。町内の6人が参加し、歴史ある神社や船小屋などを訪れ、昭和ロマンに浸った。

 町内の有志が「南紀白浜オンラインマップ制作プロジェクトチーム」を結成し、オンラインマップを制作。その際、CFで寄付を募り、返礼品としてオンラインツアーやノスタルジーツアーを企画した。ノスタルジーツアーは2月7日に開催予定だったが新型コロナや荒天で2度延期していた。

 ツアーはメンバーで自営業の中川彩さん(47)が案内役を務め、昔の写真を見せ、今と昔の風景を比べながら各地を巡った。

 最初に訪れたのは富田地域にある熊野神社。明治期に桜が植えられ、昭和初期には紀伊富田駅の開通もあって「桜の宮」として大いににぎわった桜の名所で、参加者は歴史に触れながら花見を楽しんだ。

 近くの金刀比羅神社も訪れた。境内に土俵があり、子どもらによる「奉納相撲」で知られる。かつて近くに港があり、漁師が大漁のお礼に神社に参ったり、回船で寄港した豪商がこま犬を寄贈したりといった話題が豊富で、参加者は興味深く聞いた。

 大浜から松林に沿った道を歩いて船小屋を訪ねた。魚の群れを確認するための見張り小屋が今も残っており、昭和初期の写真と見比べ、当時を思い浮かべていた。

 この後、日置川地域に移動。昭和の雰囲気が漂う集落の通りを歩いたり、世界遺産・熊野古道大辺路の「安居の渡し場」で舟に乗ったりした。

 白浜町日置の壷田みどりさん(49)は「桜がある神社は雰囲気が良く感動した。船小屋や土俵も残っていることに驚いた。こういう機会がなければ行かなかった場所で、いい体験ができて良かった」。中川さんは「今日は町内の人ばかりだったが、富田や日置川エリアは新鮮で楽しかったのではないでしょうか」とツアーを振り返った。