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2021年05月06日(木)

南方熊楠賞に山極氏 前京大総長、ゴリラ研究の第一人者

山極寿一氏(和歌山県田辺市提供)
山極寿一氏(和歌山県田辺市提供)
 世界的な博物学者、南方熊楠(1867~1941)にちなみ、博物学や民俗学の優れた研究者に贈る第31回南方熊楠賞に、京都大学名誉教授の山極寿一氏(69)=京都市=が決まった。山極氏は人類学・霊長類学者で、前京大総長。ゴリラ研究の世界的な第一人者として知られている。

 主催する和歌山県田辺市と南方熊楠顕彰会が19日、発表した。

 選考委員会によると、山極氏は京大大学院在学中にニホンザルの形態特性の変異を調べることから研究活動を開始。その後、研究の場をアフリカに移し、時には「ゴリラ語」を駆使しながらゴリラの群れに終日接触して、その多様な行動様式や社会関係を明らかにした。

 また、ゴリラと人間との共存を目的とした基金を設立したり、ゴリラを中心としたエコツーリズムの可能性について模索したりと、活動は多岐にわたっている。

 堀越孝雄・選考委員長は「自然のサルやゴリラの群れの懐に飛び込むことにより多くの新しい知見を得、さらには保全活動に取り組むなど、まさに熊楠翁の精神をほうふつさせる」としている。

 山極氏は「ゴリラを一生かけて調べる相手と決め、今まで執着し続けてきた。熊楠先生がご自分の関心を自然界から人間社会に広げて、類いまれなる想像力と創造力を発揮したように、私もアフリカのジャングルの中で得た知見を思い切り広げて世界を見つめ直してみようと思っている」とコメントしている。

 南方熊楠賞は、熊楠の没後50周年記念事業として1991年度から表彰を始めた。例年、人文部門と自然科学部門から交互に選考している。山極氏の受賞は34人目。



 授賞式と記念講演が5月8日午後1時半から、田辺市新屋敷町の紀南文化会館大ホールである。

 記念講演の演題は「ゴリラから見た人間の社会力と未来」。定員は先着70人。

 聴講の申し込みは、南方熊楠顕彰館内の顕彰会事務局(0739・26・9909)へ。


 【やまぎわ・じゅいち】1952年、東京都生まれ。京都大学大学院理学研究科博士課程単位取得退学。京大教授などを経て、2014~20年に京大総長。17~20年は日本学術会議会長を務めた。主な著書に「『サル化』する人間社会」(集英社、14年)、「ゴリラからの警告『人間社会、ここがおかしい』」(毎日新聞出版、18年)など多数。