和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月19日(木)

経済困窮の若者を応援 奨学金付きの高校生起業塾開講

高校生起業塾を始める井上雅司さん(和歌山県みなべ町北道で)
高校生起業塾を始める井上雅司さん(和歌山県みなべ町北道で)
 和歌山県みなべ町北道の企業再生コンサルタント、井上雅司さん(69)が、経済的な理由で教育の機会に恵まれない若者の夢を応援する目的で、返済不要の奨学金付きの「高校生起業塾」をスタートさせる。5月5日開塾予定で、今月21日から4月4日まで申し込みを受け付ける。井上さんは「子どもたちが学ぶ一助になりたい」と話す。


 井上さんは同町出身。早稲田大学を卒業後、日本航空開発を経て26歳でスーパーマーケットを創業したが、22年間経営して倒産。2002年、井上経営研究所を設立し、自身の経験を基に、コンサルタントとして中小零細企業の企業再生に関わっている。クライアントは北海道から四国までいる。

 1人親世帯など経済的に苦しく、学び続けることができない子どもたちの存在や貧困の連鎖の問題が気になり、高校生起業塾の構想は、10年ほど前から温めてきた。

 「学び続けたい」「夢を諦めたくない」「起業、独立したい」という強い意志を持つ子どもたちを応援しようと、社会課題の解決を目指すソーシャルビジネス事業として始めることにした。

 主催は井上経営研究所。第1期生として3人を募集する。参加費は無料。給付額は年間12万円(4回に分けて支給)で、何に使ったかは報告してもらうようにする。

 対象は、みなべ町に居住、または同町に通学、通勤し、向学心があるにもかかわらず、経済的理由で学費に困っている、おおむね15~19歳の若者。保護者の同意を得てもらう。書類選考の上、4月に面接をする。

 在塾期間は5月~来年2月。終了後、2期生として再申し込みし、合格すれば再入塾も可能。

 オンラインや研究所オフィス(みなべ町北道)で、毎月2、3回(約60分)セミナーや、新事業開発のワークショップに参加して学ぶ。内容は人の上に立つ上での哲学や道徳、金銭教育、マーケティングや管理会計などで、起業塾出資で小さな起業にも挑戦してもらう。クライアントの経営者にもゲスト参加してもらう予定。

 井上さんは「今の状況から抜け出したい。勉強したいという思いが大切。子どもたちが自分で考え、行動する能力を学び、夢を実現する一助になれば」と話す。

 ホームページ(https://www.chojyu-siawase.com)に募集要項を掲載している。問い合わせは、メール(info@keiei99.jp)か、電話(090・5135・2582)で。