和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月21日(土)

中学生考案の弁当に行列 300個が1時間で完売

弁慶市で自分たちで開発した弁当を販売する新庄中学校の2年生(21日、和歌山県田辺市扇ケ浜で)
弁慶市で自分たちで開発した弁当を販売する新庄中学校の2年生(21日、和歌山県田辺市扇ケ浜で)
 和歌山県田辺市の新庄中学校2年生が21日、地場産品を生かしてメニューを考えた弁当3種類を田辺扇ケ浜公園カッパークであった朝市「弁慶市」で販売した。販売開始30分前には行列ができる人気ぶりで、各100食を1時間で完売した。

 弁当販売は、新型コロナウイルス禍で中止になった職場体験に代わる職業教育として企画した。地元の事業者を講師に、地域産品や商品開発、広報、販売時の接遇などを学習してきた。

 弁当はイサキの竜田揚げや熊野牛野菜炒めが入った「幸雲月(こううんづき)」、めはりずしやタチウオの天ぷらが入った「中2」、ハッサク大福、県内産イチゴのまりひめを使ったカスタードパイなどを詰め合わせた「甘党」の3種類。地元の仕出し料理店や和菓子店の協力で商品化した。

 この日は、生徒が役割分担をして販売や呼び込みを担当。販売時に各弁当の特徴を紹介し、プラカードを持って弁慶市来場者にアピールして回ったり、行列待ちの客に希望の弁当を確認して在庫管理をしたりした。

 販売を担当した熊谷寧々さんは「想像以上の忙しさ。注文を聞き逃さないように気を付け、声もできるだけ大きく対応した」、森本琉海君は「行列ができて緊張した。弁当だけでなく協力していただいた店の紹介もできた」と話した。

 中学生の頑張りに、行列して待つ客も笑顔が絶えなかった。生徒に孫がいる熊谷佐登美さん(62)は「普段あまり話をしない孫娘が、弁当のことは楽しそうに話していた。よほど面白かったのでは。食べるのが楽しみ」と三つの弁当を購入した。他にも「中学生を応援したくなる」「来月も販売してほしい」などの声があった。

 販売を終えて、森本磨生君は「学習を通じ、いろんな事業者が関わって一つの仕事ができるのだと分かった。後輩や他の中学校にもぜひ体験してもらいたい」と話した。