和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月22日(日)

気候変動について学ぶ 龍神中で環境講演会

環境問題を提起したり生き方について助言したりする谷口貴久さん(和歌山県田辺市龍神村安井で)
環境問題を提起したり生き方について助言したりする谷口貴久さん(和歌山県田辺市龍神村安井で)
 和歌山県田辺市龍神村安井の龍神中学校は5日、学校近くの龍神市民センターで全校生徒73人を対象に「キャリア教育講演会」を開いた。「地球を守ろう!」の代表で環境活動家の谷口貴久さん(32)が「みんなが気候変動について知れば必ず変わる。できることから選択して行動していこう」と呼び掛けた。

 新型コロナウイルスの影響で職業体験ができなくなった代わりに、さまざまな人の生き方を学ぼうと「キャリア教育」を企画し、この日は環境問題について話を聞くことにした。

 大阪府出身の谷口さんは、関西大学からイギリスのマンチェスター大学に留学してインターネットビジネスで起業。社会の課題解決を志してドイツへ移住し、現在は二つの会社の役員を務めながら、気候変動の危機を伝える活動を続けている。

 谷口さんは、世界各地の森林火災や豪雨・洪水による災害をスライドを使って紹介し、気候変動は資源の奪い合い(戦争)につながると指摘。アメリカでは国防問題と考えていると話し「豊かな自然がなくなるのではなくて、真っ先に平和が失われる」と話した。

 気候変動についてまだ知らない人が多いとし「知っている人が増えれば必ず変わる」と強調。日々できる事から選択して行動するように呼び掛けた。温暖化を止めようと、ドイツの中学生たちが学校に行かずに各地で集会を開いて訴えている映像も見せた。

 「難しい問題ではなく、自分と他人の命にほんの少しだけ思いやりを持つことで解決できる」と語り、具体的にどう行動すればよいかを説明。ごみを減らしてマイ箸、マイバッグなどを使う▽省エネを心掛け再生可能エネルギーを選ぶ▽公共交通機関を使いエコカーを選ぶ▽牛肉、乳製品、植物性油脂を避ける―などを提案した。

 誰かが何とかするだろうという思い込みがあり、ほぼ全員が何もしないことが最大の脅威であるとも指摘。「あなたたちの世代が気候危機を食い止める最後で最高の希望の星」と語り、できることからやって続けてほしいと促した。

 質問コーナーでは数人が、谷口さんの今後の活動予定や生き方などについて聞いた。

 谷口さんは目標や夢は持たないと断言。今に集中すると良い人生となり、一番良い今を積み上げていくことが大事だと答えた。現在は各地で講演活動をするため家を持たず、全国の知人や宿泊施設を泊まり歩いていること、人と比べずに人目を気にせずに、やりたいことは自分でつくって後悔しない人生を送ることを勧めた。

 お金(生活費)はどうして得ているのかの問いに「稼ぐことを考えるよりは、どうしたら人に求めてもらえるかを考えるとうまくいく。人に求められることの方が大事で、そうするとお金もついてくる。ビジネスも一緒だと思う」と述べた。

 講演を聴いた2年の手谷朱莉さん(14)は「知らないうちに、私たちが動物や環境に影響を与えていることを実感した。これからはプラスチックごみを削減したりエコバッグを持ったりして貢献したい。私は人目をすごく気にする性格で、谷口さんの話を聞いて積極的な行動ができるようになりたいと思った」と話した。