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2021年09月22日(水)

地滑り兆候の古道復活目指す 田辺市が観測用伸縮計設置

熊野古道、迂回路地図
熊野古道、迂回路地図
通行止めが続いている熊野古道沿いの斜面に設置された伸縮計(和歌山県田辺市中辺路町道湯川で)
通行止めが続いている熊野古道沿いの斜面に設置された伸縮計(和歌山県田辺市中辺路町道湯川で)
 和歌山県田辺市は長年通行止めにしている同市中辺路町道湯川の「岩神王子」周辺の熊野古道で、道沿いの斜面に、地面の動きを観測する伸縮計を設置した。紀伊半島大水害(2011年9月)に伴い、地すべりの兆候が見られた場所。担当者は「復旧に向けた第一歩」としており、安全性が確認されれば古道の修復に取り組み、本来のルートを「復活」させたいという。

 市教委文化振興課によると、通行止めにしている熊野古道は、熊瀬川王子と岩神王子のほぼ中間にある仲人茶屋跡から蛇形地蔵近くまでの約3・5キロ。世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」に登録されている。

 この区間では、紀伊半島大水害で岩神王子近くの地面に亀裂が見つかり、地すべりの兆候を確認。通行止めにした後、12年3月からは林道などを通る約4キロの迂回(うかい)路を設けることで、熊野古道の中辺路ルートを通れるようにしてきた。

 通行止めにした区間では崩れた場所を直したほか、地すべりの兆候が見られた場所については市が13年度と16年度に、伸縮計を設置して調査。2回目の調査の際には「微動」の状態だったという。

 その後、時間が経過する中「あくまで外見からではあるが、落ち着いている部分もある」(同課)などとし、昨年12月中旬、このルートを復活させるための科学的な根拠を得るために伸縮計を設置した。

 今後、雨が多い時季と少ない時季の状態を調査。その結果、安全性が確認できれば関係機関と調整し、荒れてしまった古道の点検や修復に取り組み、再び通れるようにしたいという。

 市教委文化振興課の松本清子課長は「世界遺産に登録されているルートであり、文化財の保護保全は第一の使命。あくまで調査で安全性が確認されればだが、皆さんが安全で安心して歩けるよう努めながら、なるべく早く復旧できるよう取り組んでいきたい」と話している。