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梅システムを後世へ 農業遺産認定5周年で動画配信

「みなべ・田辺の梅システム」の世界農業遺産認定5周年を記念し15日から配信が始まったPR動画
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 400年前から受け継がれてきた「みなべ・田辺の梅システム」が世界農業遺産に認定され、15日で5周年を迎えた。和歌山県のみなべ町や田辺市、JAなどでつくる「みなべ・田辺地域世界農業遺産推進協議会」はこの日、インターネットで動画配信を始めるとともに、庁舎に横断・懸垂幕を設置し、保全や継承に向けてアピールした。

 動画配信は、新型コロナ禍でシンポジウムなどの開催が厳しくなっている中、とりわけ若い世代にPRできればと企画した。

 テーマは「つなげよう!未来へのバトン!」。昨年度に「梅システムマイスター」に任命された神島高校(田辺市文里2丁目)3年の中松來伽さんと井上実優さんがリポーターとなり、世界農業遺産のほか、地域の生産者や団体の活動を紹介する。インタビュー内容は高校生も考え、10月中頃から収録を開始した。

 15日に配信が始まった第1回は、世界農業遺産の紹介をはじめ、小谷芳正みなべ町長や真砂充敏田辺市長、仁坂吉伸知事から世界農業遺産にかける思いについて高校生2人が聞いた内容で、それぞれの動画時間は5分間ほど。

 第2回は25日から配信予定。梅農家と紀州備長炭の生産者がこだわりの技を語るほか、住民でつくる「まちキャンパスプロジェクト」チームが活動を紹介する。

 第3回は元日から配信予定。みなべ川森林組合による森保全の取り組み、若手農業者でつくる「みなべ梅郷クラブ」によるニホンミツバチを守るための活動を紹介する。

 その後も2週間ごとに新動画を配信し、来年3月末までに全14本を予定している。

 配信はみなべ・田辺地域世界農業遺産推進協議会のホームページで視聴できる。問い合わせは推進協議会事務局のみなべ町うめ課(0739・33・9310)へ。

 横断・懸垂幕は「祝5周年 世界農業遺産みなべ・田辺の梅システム」と書かれており、みなべ町と田辺市が各庁舎に設置した。

■継承活動に力

 農業遺産は、近代化された農業によって失われつつある世界各地の伝統的な農業、農村文化と景観、生物の多様性に富む生態系を守り、次世代に引き継ぐことを目的に、国連食糧農業機関(FAO)が2002年から始めた認定制度。現在、22カ国62地域が認定されている。国内には11地域ある。みなべ・田辺は国内で6番目に認定された。

 それを受け、推進協議会は、システムの保全や継承、活用のためのアクションプランや活用プランを策定し、梅システムを継承する人材の育成、梅干しや木炭の特産品の販売促進などを続けている。

 昨年1月に住民が主体となってつくった「世界農業遺産5周年記念イベントプロジェクト」「梅贈りプロジェクト」「まちキャンパスプロジェクト」「魅力再発見改プロジェクト」の各チームも活動する。

 本年度から2期目に入り、次世代に継承するための活動に力を入れたいという。

 小谷町長は「生産者はもちろん、町民に梅システムの意義や価値を理解してもらうことで、保全や継承に向けた機運をさらに高めたい」、真砂市長は「認定5周年を機に、梅産業に関わる人と共に改めて世界農業遺産の意義について考え、このシステムを次世代に引き継いでいきたい」と話している。

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