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コロナ終息したら来て 飲食店や宿泊施設が「未来の利用券」

前売りの宿泊券を販売しているサイト
前売りの宿泊券を販売しているサイト
 新型コロナウイルスの感染拡大防止のため営業を自粛している飲食店や宿泊施設などの間で、事態が落ち着いた後に使える割安の前売り券を販売する動きが出てきた。当面の現金収入はもちろん、未来の客獲得やPRにもつながると注目されている。

 和歌山県田辺市本宮町の飲食店「くまのこ食堂」は、食事券3種類をインターネットで販売している。ランチ優待券は1400円のランチが千円で利用できるなどお得感を持たせている。

 くまのこ食堂を運営する「kumano.co」の代表理事、森岡雅勝さん(27)は「4月に入っても県外ナンバーの車を見掛けることが多かった。感染拡大防止のため休業を決めた」という。休業中は「普段なかなか手を付けられずにいたことに挑戦したい」と話す。

 まず着手したのが「未来の食事券」。販売サイトを2時間程度で自作し、会員制交流サイト(SNS)を通じてPRしたところ「常連だけでなく、今まで本宮に来たことのなかった人も、この機会にと購入してくれた。取り組む価値はある」という。

 耕作放棄地での農業にも挑戦。収穫した農作物を自店で提供する考えだ。農作業の過程の情報も発信していく。

 串本町古座のダイビングショップ「ダイブ クーザ」は、ダイビングチケットを販売している。古座川でのダイビングやオオサンショウウオ探しなど独自メニューや体験ダイビングもあり、「初心者へのプレゼントにも活用してほしい」という。

 「問題は長期化の様相を見せている。自助努力で乗り切るのは難しい」と苦境を明かし、SNSなどで支援を呼び掛けたところ、予想以上に反響があった。「その分、繁忙期の売り上げが減少するが、チケットを購入した人が、友達を誘って来てくれるなど相乗効果はあるはず」と期待している。

 いち早く「未来の宿泊券」に着手した串本町串本の古民家ホテル「NIPPONIA HOTEL(ニッポニア ホテル) 串本 熊野海道」は、宿泊券や食事券を販売したところ、3週間で約300万円の売り上げがあった。

 「発信はSNSが中心だが、60%は知人以外の購入。これまで客層は近畿中部がほとんどだったが、全国各地から購入いただけた。応援のコメントも多数届き、感謝の気持ちでいっぱい」と話している。

 田辺市湊のゲストハウス「the CUE(ザ・キュー)」も宿泊券の販売を始めた。素泊まりだが「約200店が並ぶ飲食街が近くにあり、海山の幸が楽しめる」と宿泊時の近隣店の利用も呼び掛けている。

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