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遺族「田辺市は責任を」 元局長急死で訴訟、和歌山

和歌山地裁
和歌山地裁
 2018年8月に和歌山県田辺市の危機管理局長として台風の対応に当たった中野典昭さん(当時57歳)が直後に脳出血で死亡したのは、市が安全配慮義務を怠ったためだとして、遺族が市に7146万円の損害賠償を求めている訴訟の第1回口頭弁論が10日、和歌山地裁(高橋綾子裁判長)であった。市側は争う姿勢を示しており、今後、具体的な主張を書面で提出する。

 10日は中野さんの妻(64)が出廷し「夫には高血圧の持病があった。市がそのことを配慮し、休息が取れて、精神的緊張が長時間続かなかったら、夫はこのような亡くなり方はしなかったと思う。安全を配慮しなかった市に責任を求める」と意見を述べた。

 訴状などによると、中野さんは台風20号の接近に伴い、8月23日朝から24日夕方まで、ほとんど休息を取らず対応に追われた。25日に自宅で倒れ、救急搬送されたが、26日に亡くなった。中野さんの死は20年6月、公務災害に認定された。

 この件を巡っては、市の第三者調査委員会が24年1月、市の対応などを検証した報告書を市に提出した。組織上の問題点が中野さんへの負荷を強めた可能性を指摘する内容で、市はこれを踏まえ、長時間連続勤務の制限などを盛り込んだ改善計画を作成した。

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