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経済的に厳しいほど低く 子どもの授業理解度、和歌山県調査

学校の授業が「いつもわかる」と答えた子の割合
学校の授業が「いつもわかる」と答えた子の割合
 経済的に厳しい家庭ほど、学校の授業が「いつもわかる」と答えた子どもの割合が低いことが、和歌山県の「子供の生活実態調査」で分かった。ただ、自尊感情が高ければ、世帯所得が低くても理解度が高い子どもが多い傾向にあった。県は「学力は将来の所得を決める大きな要素」だとし、さまざまな方向から支援を進める。


 県は昨秋、県内小学5年生と中学2年生の全員約1万5千人に調査票を配布。9277件の有効回答を得て、貧困と学習状況、生活実態の関連性などを分析した。

 回答を基に、家庭の年間手取り収入から世帯人数を考慮した「等価可処分所得」の中央値を245万円と計算。これ以上の家庭を「所得段階1」(50・9%)、半分の123万円未満を「所得段階3」(=相対的貧困層、10・7%)とし、その間を「所得段階2」(38・4%)とした。

 学校の授業について小学5年生に聞いたところ「いつもわかる」と答えたのは「所得段階1」では44・5%だったのに対し、「所得段階3」は25・5%。中学2年生は「所得段階1」は21・3%、「所得段階3」は9・1%だった。

 また、家庭の経済状況が厳しいほど、塾や習い事をしている割合が低い▽宿題をする割合が低い▽歯磨きや入浴などの生活習慣が備わっている割合が低い▽子どもに本や新聞を読むよう勧めている、良いところを褒める、といった保護者の教育姿勢が低い―といった傾向もみられた。これらが授業の理解度に影響している可能性があるという。

■自尊感情の高さも影響

 一方、経済状況だけでなく「自分には良いところがある」「将来の夢や目標を持っている」「頑張ればいいことがある」「家族に大事にされている」などの自尊感情も授業の理解度に大きく影響していることが分かった。

 「所得段階1」だが自尊感情が低い小学5年生のうち「いつもわかる」と答えたのは29・0%、「所得段階3」で自尊感情が高い子どもは36・4%だった。中学2年生も「所得段階1」で自尊感情が低い子どもより、「所得段階3」で自尊感情が高い子どもの方が理解している割合が高かった。

 自尊感情は、家族以外の大人と積極的に関わったり、放課後に過ごす居場所が多かったりするほど、高い傾向もみられた。

 県は、自尊感情は積極的に社会で生きる原動力として重要な要素だとし、子ども食堂など、多様な大人と関われる場の提供を充実させたいとしている。

■保護者の経験関係か
子どもへの教育姿勢


 また、経済的に厳しい世帯の保護者ほど、過去に自身が「成人前の生活で経済的に困っていた」「経済的理由で進学を諦めたり退学したりした」などといった問題を経験した割合が高かった。

 県は、こういった経験に基づいた価値観が子どもへの教育姿勢に関連している可能性があるとしている。調査結果は、来年度策定予定の「県こども計画」(5年間)に反映させたいという。

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