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「様子おかしい」会話から気づく 乗客の自殺防いだタクシー運転手に感謝状、和歌山・白浜署

原口憲司署長(左)から感謝状を受け取る北本弘さん=25日、和歌山県警白浜署で
原口憲司署長(左)から感謝状を受け取る北本弘さん=25日、和歌山県警白浜署で
 自殺を考えていた人を説得して命を救ったとして、和歌山県警白浜署は25日、明光タクシー(白浜町)運転手の北本弘さん(72)=田辺市上万呂=に感謝状を贈った。北本さんは「助けることができてよかった」と振り返った。

■「様子おかしい」 会話から気付く

 北本さんは10日午後4時45分ごろ、仕事でJR白浜駅(白浜町堅田)から県外在住の40代女性1人を乗せた。行き先を尋ねると「三段壁へ行ってください」と言われたが、大きな荷物を持っておらず、「ちょっとおかしい」と感じた。

 「何しに行くんですか」「ちょっと…」。「泊まる所は」「まだ決めていません」。そうした会話を交わしながらルームミラー越しに見ると、女性は窓の外ばかり眺めていた。

 「何かあったんですか」。北本さんがそう聞くと、女性は「一生懸命やっているのに、周りは分かってくれない」と涙ぐんだ。

 自殺を考えているのでは―。そう感じて「三段壁には行きません。警察へ行きましょう」と告げた。女性は「死なせてほしい」と言ってきたが、「人間だったら、つらいことや苦しいことはある。負けたらあかん。警察の人に相談しましょう」と諭した。白浜駅前で乗せてから約15分で署に到着し、女性の手を引いて署内へ入った。

 署は同日中に女性の家族と連絡を取り、迎えに来てもらったという。

 北本さんに感謝状を手渡した原口憲司署長は「県外から来る人は、タクシーやバスの運転手の方々と最初に接触する可能性が高いと思うが、今回はそこで(自殺を考えていると)察知して助けてもらえて非常にありがたい」と話した。

 北本さんは「今後も注意を払いながら仕事に当たりたい。同僚には『不思議なことがあったら自分で判断せず、警察へ』と伝えたい」と話している。

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