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ヤドカリ100匹…実は押収品 国の天然記念物、神奈川から和歌山・すさみの水族館へ

エビとカニの水族館が引き取ったムラサキオカヤドカリの一部(和歌山県すさみ町江住で)
エビとカニの水族館が引き取ったムラサキオカヤドカリの一部(和歌山県すさみ町江住で)
 和歌山県すさみ町江住のエビとカニの水族館に今秋、国の天然記念物に指定されているムラサキオカヤドカリ100匹が仲間入りした。なぜ一度に、こんな大量に? 尋ねたところ、事件の証拠品として警察が押収した一部なのだという。

 ムラサキオカヤドカリが来たのは9月末のこと。新江ノ島水族館(神奈川県藤沢市)から「引き取ってもらえないか」との連絡が8月にあり、全長10センチ前後のちょうど100匹を受けることにした。

 販売許可を得ている業者から購入した10~20匹を以前から飼育展示していることもあり、「きちんと管理できる分なら」と応じた。天然記念物のため、引き取りに際して町教育委員会を通じて県教委へ必要な書類を提出した。個体数が多いため、スタッフが自動車で新江ノ島水族館に引き取りに行った。

 一気に数が増えたため、以前より大きな水槽に変えて展示。内部の温度や湿度を管理して飼育している。

 新江ノ島水族館によると、このムラサキオカヤドカリは神奈川県警が押収したもので、全部で446匹いた。県警から相談され、7月から一時保管という形で受け入れていた。エビとカニの水族館を含め、3施設に計250匹を引き取ってもらったという。

 ムラサキオカヤドカリは、名前の通り陸地に生息するヤドカリの仲間。県内では、すさみ町や白浜町の海岸沿いでも主に夏から秋までの暖かい時季によく見られるが、天然記念物のため、採取してはいけない。

 エビとカニの水族館の平井厚志館長(40)は「紀伊半島に生息する身近な生き物が天然記念物で貴重だということを知ってもらえるといい」と話している。

 神奈川県警は紀伊民報の取材に「ヤドカリを文化財保護法違反事件の証拠品として押収したのは事実だが、捜査中のため、詳細な回答は控える」とした。
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