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紀伊半島沿岸で洋上発電計画 関電など、美浜~白浜沖に100万KW

風力発電機設置の想定区域
風力発電機設置の想定区域
県沖に計画されている洋上風力発電の環境影響評価審査会(和歌山市で)
県沖に計画されている洋上風力発電の環境影響評価審査会(和歌山市で)
 関西電力などが、和歌山県の美浜町から白浜町の沖に洋上風力発電の設置を計画している。発電設備を50~110基設置し、原子力発電所1基分に相当する最大100万キロワットの発電を目指す。現在、環境への影響を評価するための手続きに入っている。


 計画しているのは関西電力と、長年の洋上風力発電の実績があるドイツの大手電力会社「RWE」の子会社「RWE リニューアブル・ジャパン」(東京都)。

 県内での洋上風力発電計画はほかに、パシフィコ・エナジー(同)が日高町から御坊市沖に事業(最大75万キロワット)を予定しており、二つ目となる。国内では今年1月、秋田県沖で日本初の大規模発電所が商業運転を開始している。

 県は2021年に、全国的にも風の環境が良いとされる由良町から串本町までの海域のうち、事業に適した海域と慎重となるべき海域を示した地図(ゾーニングマップ)を公表。関電などはこれを踏まえて計画した。

 発電機設置の想定区域は海岸から10~30キロ程度沖の250平方キロで、水深は70~300メートル程度。風力発電設備は9500キロワット級(高さ187メートル)~2万キロワット級(310メートル)で、水深が深いことから海上に浮かべる「浮体式」を想定している。

■環境への影響審査

 県は11日、事業者から、環境保全に配慮すべき事項を検討した「計画段階環境配慮書」についての話を聞く第1回「環境影響評価審査会」を和歌山市で開いた。

 「配慮書」は環境影響評価の最初の段階で、事業者は経済産業省と県、環境への影響の恐れがあるとする印南町と御坊市に提出されている。県は8月29日までに、両市町や審査会からの意見を勘案した知事意見を事業者に提出する。事業者は経産相や住民からの意見も踏まえ、環境評価調査の「方法書」を作成する。

 審査会は大学教授や自然環境の専門家ら有識者で構成。会議で委員から「印南町と御坊市だけでなく、天神崎がある田辺市など周辺市町にも影響が出るのではないか。その住民にも意見を聞くべきではないか」「配慮書では10キロ以上沖にあるので騒音はないと想定しているが、風向きによっては聞こえるのではないか」などの指摘があった。

 また「配慮書」に陸域動物に重大な環境影響はないと予測していることに対し、影響がないとは言い切れないという意見や、海底ケーブルの揺れや風力発電施設の航空障害灯などによる生態系への影響、景観への影響、漁業や観光への影響、台風や津波の対策などに関する質問もあった。

 今回の委員からの意見や事業者からの回答を整理した上で、審査会を7月下旬ごろに再度開く予定。

 「配慮書」は8月2日まで、関電のホームページ、県環境生活総務課や印南町、御坊市で閲覧できる。意見を提出することもできる。

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