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キノコの絵が学術書の表紙に 「熊楠風」に田辺市の杵村さん

自身の絵が表紙となった本を持つ杵村直子さん
自身の絵が表紙となった本を持つ杵村直子さん
 和歌山県田辺市中屋敷町の画家、杵村直子さんの絵画が、文化人類学者であるカルフォルニア大学(アメリカ)のアナ・チン教授の著書の表紙に採用されている。英語の原著のほか、日本語訳やオランダ語訳の本も出版されている。

 原画は、杵村さんが採集したマツタケを写生した絵画で、杵村さんが感銘を受けた世界的博物学者南方熊楠の菌類図譜のように描いている。紙を古びたようにしたり、説明文を書いたりしている。

 その絵を自身のブログに載せたところ、著書の表紙に使うために南方熊楠が描いた絵を探していたチン教授の目に留まり、「大変素晴らしく、ぜひ表紙として使いたい」と申し出があったという。

 著書の原題は「The Mushroom at the End of the World」。2015年にプリンストン大学(アメリカ)から出版された。日本語訳版は19年、みすず書房から「マツタケ 不確定な時代を生きる術」という題名で出版された。

 アメリカや中国など複数の国にまたがった研究に基づき、日本に輸入されるマツタケの供給連鎖の発達史を多角的に叙述している。資本主義の破壊的現実を背景に、人間と人間以外のものの絡まり合いと関係性の諸相を描いた人類学の学術書。

 原著と日本語訳版は表紙、オランダ語訳版は中表紙に杵村さんの絵が印刷されている。杵村さんは「学術的な本の表紙に使っていただけて光栄。世界的に話題になった本で、多くの反響があり、感動している」と話している。

 こうした反響が続くことから、杵村さんが講師となり、南方熊楠の図譜をオマージュして絵画を描くワークショップ「みなかたる」(紀南アートウイーク実行委員会主催)が9日午前10時~11時半、田辺市中屋敷町の南方熊楠顕彰館近くにあるSOUZOU(ソウゾウ、旧岩橋邸)である。定員は8人。予約が必要。大人3千円、12歳未満2500円(ともにドリンク1杯付き)。紀南アートウイークのホームページから予約できる。

 SOUZOUでは16日まで、同実行委員会が菌や植物などをテーマにした展示イベントをしており、イベント中やその後は杵村さんの絵が表紙のチン教授の著書を閲覧できる。

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