昨年上回るも依然低調 みなべ・千里の浜のウミガメ産卵
和歌山県みなべ町山内の千里の浜で、アカウミガメが今季産卵した回数を、NPO日本ウミガメ協議会と町教育委員会がまとめた。20日未明までに確認されたのは49回で、1981年の調査開始以降で2番目に少なかった昨年の31回を上回ったが、低調な状況は変わらなかった。協議会は「一安心だが、まだまだ少ない。来年以降、もっと増えることに期待したい」としている。
千里の浜は全国有数のアカウミガメの産卵地で、本州では最も産卵密度が高い。毎年5月中旬から8月中旬にかけて産卵が続き、ウミガメ協議会や町教委などが保護調査や研究を続けている。
今季の初確認は5月23日で、昨年より1週間ほど早かったが、昨年同様その後は低調で、本来ならピークとなる6月中旬になってもまったくない日が何日間も続いた。6月下旬~7月下旬は、6月26日や7月11日にいずれも5回の産卵が確認されたが、3日連続で産卵がないことが3度あり、あっても1日に1、2回と少なく、低調なままだった。それでも昨年を上回り、関係者はひとまず安心した。内訳は5・6月が計15回、7月が28回、8月が6回だった。
過去を年別にみると、1990、91年はいずれも約350回の産卵が確認できたが、その後は減少傾向となり、98年には過去最少の29回まで落ち込んだ。その後、増減を繰り返し、2012、13年には300回近くまで回復したが、14年には半分以下の139回に減り、その後も減少傾向で18年に59回、19年に47回、20年に63回と少ない状況が続いている。
■岩代の浜では増加
一方、千里の浜に隣接する、同町東岩代と西岩代にある岩代の浜では今季、15回の産卵が確認できた。2回だった昨年と比べれば大幅に増えた。
要因についてウミガメ協議会の松宮賢佑事務局長は、千里の浜での上陸回数が今季105回で、昨年(59回)の約1・8倍となっていることを挙げ「千里の浜で何度も上陸したものの、産卵せずに岩代に場所を変えて産んだ可能性はある」と話している。
1匹のウミガメが1シーズンに何回も上陸するケースもあるが、上陸したウミガメには個体識別の標識を付けているため、産卵にやって来るウミガメの匹数も把握できており、昨年より多いことが分かっている。松宮事務局長は「産卵数は全国的に微増で、ここも同じような状況といえる。毎年、増減はあるので、今後どうなるかは分からないが、増えてくれればと思う」という。さらにウミガメは生まれて30~40年後に産卵のために戻ってくるといわれており、30年前に千里の浜で産卵が多かったことから「今後、増える可能性はある。100回は超えてほしい」と期待している。
■浜の砂が減少 町教委が対策検討
千里の浜で砂が少なくなっているとして、ウミガメ協議会や町教委はウミガメの産卵に適した環境が悪化することを心配している。
町教委教育学習課の前田一樹副課長は「数年前から砂の減少が目立っており、岩があちこちで露出するようになってきた。このため、ウミガメが産卵する場所が限られてきている」という。飛散防止の対策を検討しており「自然のことなので人ができることは限られるが、産卵できる環境づくりをしていきたい」と話している。
千里の浜は全国有数のアカウミガメの産卵地で、本州では最も産卵密度が高い。毎年5月中旬から8月中旬にかけて産卵が続き、ウミガメ協議会や町教委などが保護調査や研究を続けている。
今季の初確認は5月23日で、昨年より1週間ほど早かったが、昨年同様その後は低調で、本来ならピークとなる6月中旬になってもまったくない日が何日間も続いた。6月下旬~7月下旬は、6月26日や7月11日にいずれも5回の産卵が確認されたが、3日連続で産卵がないことが3度あり、あっても1日に1、2回と少なく、低調なままだった。それでも昨年を上回り、関係者はひとまず安心した。内訳は5・6月が計15回、7月が28回、8月が6回だった。
過去を年別にみると、1990、91年はいずれも約350回の産卵が確認できたが、その後は減少傾向となり、98年には過去最少の29回まで落ち込んだ。その後、増減を繰り返し、2012、13年には300回近くまで回復したが、14年には半分以下の139回に減り、その後も減少傾向で18年に59回、19年に47回、20年に63回と少ない状況が続いている。
■岩代の浜では増加
一方、千里の浜に隣接する、同町東岩代と西岩代にある岩代の浜では今季、15回の産卵が確認できた。2回だった昨年と比べれば大幅に増えた。
要因についてウミガメ協議会の松宮賢佑事務局長は、千里の浜での上陸回数が今季105回で、昨年(59回)の約1・8倍となっていることを挙げ「千里の浜で何度も上陸したものの、産卵せずに岩代に場所を変えて産んだ可能性はある」と話している。
1匹のウミガメが1シーズンに何回も上陸するケースもあるが、上陸したウミガメには個体識別の標識を付けているため、産卵にやって来るウミガメの匹数も把握できており、昨年より多いことが分かっている。松宮事務局長は「産卵数は全国的に微増で、ここも同じような状況といえる。毎年、増減はあるので、今後どうなるかは分からないが、増えてくれればと思う」という。さらにウミガメは生まれて30~40年後に産卵のために戻ってくるといわれており、30年前に千里の浜で産卵が多かったことから「今後、増える可能性はある。100回は超えてほしい」と期待している。
■浜の砂が減少 町教委が対策検討
千里の浜で砂が少なくなっているとして、ウミガメ協議会や町教委はウミガメの産卵に適した環境が悪化することを心配している。
町教委教育学習課の前田一樹副課長は「数年前から砂の減少が目立っており、岩があちこちで露出するようになってきた。このため、ウミガメが産卵する場所が限られてきている」という。飛散防止の対策を検討しており「自然のことなので人ができることは限られるが、産卵できる環境づくりをしていきたい」と話している。