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県内企業の景況悪化 和歌山、コロナや仕入れ価格高騰影響

和歌山県田辺市の飲食街「味光路」
和歌山県田辺市の飲食街「味光路」
 和歌山社会経済研究所が県内企業に自社景況を聞いたところ、今年1~3月期の指数「景況BSI」は、前期の昨年10~12月期から大幅に悪化したことが分かった。下げ幅は、現行形式の調査を始めた2001年以降、3番目の大きさ。研究所は、新型コロナウイルスの感染拡大のほか、世界的な物価上昇による急激な仕入れ価格の高騰も影響したとみている。


 県内2千社にアンケートを発送し、847社から回答を得た。景況BSIは、自社の景況を「良い」と答えた企業の割合と、「悪い」と答えた企業の割合の差で、1~3月期はマイナス26・8(小数点以下第2位を四捨五入)だった。「良い」が11・7%、「悪い」が38・6%。前期のマイナス10・9より15・9ポイント下がった。

 前期からの下げ幅は、初めての緊急事態宣言が発令された20年4~6月期(22・3ポイント減)、国内で初めて新型コロナ患者が確認された同年1~3月期(17・2ポイント減)に次ぐ大きさとなった。

 産業別(建設、製造、商業、サービス)では全て、前期より悪化した。「建設業」はマイナス1・1。前期はプラス23・6の高水準だったが、今期は原材料価格の上昇に加え、建設現場での新型コロナ感染拡大で工期が遅れるなどし、1年半ぶりにマイナスとなった。「建設業」では年度末に悪化する例は少ないという。「製造業」はマイナス23・2(前期比9・7ポイント減)、「商業」はマイナス36・6(15・7ポイント減)、「サービス業」はマイナス29・1(15・5ポイント減)だった。

■飲食、宿泊で深刻

 より詳細にみると「サービス業」のうち、特に飲食、宿泊関係が深刻だった。「飲食業」では全ての事業者が「悪い」と回答し、マイナス100。前期のマイナス60・0から40・0ポイント下落した。「旅館・ホテル業」も下げ幅が大きく、前期の0・0からマイナス80・0になった。県の観光需要喚起策「リフレッシュプラン」の延期や「まん延防止等重点措置」適用による飲食店の営業時間の短縮要請などが影響したとみられる。

 クリーニング業や理美容業などの「生活関連サービス業」も前期から46・1ポイントの大幅下降で、マイナス69・2となった。人出の減少のほか、クリーニング業では溶剤やボイラー燃料の高騰も影響しているという。

 地域別(和歌山市、紀北、紀中、紀南)では、紀南が前期より16・2ポイント下がり、マイナス33・1。3期連続で4地域中最も低くなった。田辺市や白浜町、那智勝浦町に多い「旅館・ホテル業」の景況悪化が大きな要因という。

 県内全体の4~6月期の見通しは、マイナス21・7でやや改善するとしている。ただ、中国での都市封鎖による原材料や部品の調達難の深刻化、円安による仕入れ価格のさらなる上昇なども心配されることから、研究所は「県内経済を取り巻く情勢は厳しく、先行き不透明感は強い」としている。ロシアのウクライナ侵攻についても、経済団体が「将来的に影響が出てくるだろう」と予測していることから、注視する必要があるとしている。

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