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スマート農業発展目指す 田辺市上秋津、国の実証事業終了

実証事業後も、継続して地域のスマート農業に生かしていく気象観測装置(和歌山県田辺市上秋津で)
実証事業後も、継続して地域のスマート農業に生かしていく気象観測装置(和歌山県田辺市上秋津で)
 和歌山県田辺市上秋津地域が2020年度と21年度に取り組んだ、農林水産省によるICT(情報通信技術)などを使った中山間地でのスマート農業の実証事業が終了した。気象観測装置のデータを生かした防除薬剤の経費削減、リモコン式草刈り機による作業の省力化などで目標を達成した。地域は実証事業を踏まえて、スマート農業を発展させ、持続可能な農業を目指す。


 地域ではかんきつや梅が栽培されているが、後継者不足や高齢化が進んでいることから、スマート農業の導入に取り組んだ。実証事業は、地元の農業法人「秋津野」や「きてら」「秋津野ゆい」が、JA紀南、和歌山大学、県、市と共同事業体を組織して取り組んだ。

 実証事業は3点あり、気象観測装置のデータを生かした梅の栽培管理では、黒星病の防除について、雨量データと残効の長い薬剤との組み合わせで、散布回数を減らし、防除薬剤の経費を5%削減できたという。

 リモコン式の自走草刈り機を導入した梅畑での除草作業に要した時間は、慣行の肩掛け式の草刈り機での作業と比べて、10アール当たりで平均65%削減できた。

 農作業日誌アプリを通じて、ベテラン農家の作業体系を把握し、若手農家の作業に生かそうという取り組みでは、アプリの仕様が1品種1園地の登録となっており、多品種が1園地に混植されている上秋津地域では使いにくい面があったが、効率的な防除事例を伝えることにはなったという。

 今後、上秋津地域では、気象観測装置を活用して薬剤防除回数を減らすことができた事例を地域で共有し、観測装置の閲覧者を増やすことや、リモコン式の自走草刈り機をレンタルにするなどして、草刈り作業の効率化を普及させていきたいと考えている。

 秋津野の木村則夫社長は「実証事業を始めるまで、地域では『スマート農業』という言葉さえなじみがなかったが、将来につながる取り組みができ、良かった。気象観測装置は各農家でデータを活用して、自分に合った使い方も見つけてもらえれば。これからさらにスマート農業に取り組める環境づくりに努めていきたい」と話す。

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