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南方熊楠直筆の手紙購入 白浜の記念館、来年にも特別展

南方熊楠が宇井縫蔵へ出した手紙(和歌山県白浜町の南方熊楠記念館で)
南方熊楠が宇井縫蔵へ出した手紙(和歌山県白浜町の南方熊楠記念館で)
 和歌山県白浜町の南方熊楠記念館は、熊楠が知人2人に送った手紙計7通などを東京や和歌山市の古書店3店舗から購入したことを明らかにした。活字化されていないものもあり、貴重という。解読した上で特別展の開催を計画している。


 上富田町出身の植物・魚類研究者、宇井縫蔵へ1911(明治44)年8月~35(昭和10)年2月に出した6通と、田辺市出身の地方紙記者で郷土史家、雑賀貞次郎へ25(大正14)年9月に送った1通。

 宇井は、熊楠と植物学者・牧野富太郎が交流する際に間に入った人物。6通のうち29(昭和4)年10月26日に出した手紙は、全長が1・5メートルもあり、宇井が出版した「紀州植物誌」の内容の補足や、誤りの指摘が中心。複数のイラストも確認できる。

 文頭に「午後4時に書き始める」とあるのに、同日付の消印があるため、短時間で一気に書ききったとみられる。記念館では「書き始めたら止まらなかったのだろう。熊楠らしさが表れている」と評価している。

 雑賀宛ての手紙は、熊楠の長男・熊弥のために新聞記事を探してほしいという内容。翻字されたものが「南方熊楠全集」に収められているため、比較できるようになったと記念館では話している。

 記念館は今回、手紙7通のほか、熊楠が東京・日本橋の雑誌編集者、気賀林一へ33(昭和8)年11月に送った直筆原稿も購入した。クラゲに関する文章で、気賀が携わる「本草」という雑誌の同年12月号に掲載されたという。

 手紙と原稿の購入費は計約170万円。記念館が昨秋に実施したインターネット上の寄付集め(クラウドファンディング=CF)の資金を充てた。特別展は来年2月をめどに計画しており、CFで集まった寄付金を活用した事例をまとめて披露する予定という。

 CFは「大切な収蔵品を後世に残したい」という趣旨で展開し、計1834万5千円が集まった。

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