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農作物の鳥獣害2億9千万円 和歌山県、11年ぶり3億円切る

有害鳥獣として、おりで捕獲したシカ(和歌山県田辺市中辺路町で)=県提供
有害鳥獣として、おりで捕獲したシカ(和歌山県田辺市中辺路町で)=県提供
 和歌山県は、2020年度の野生鳥獣による県内農作物の被害額が2億9008万円(前年度比95%)だったとの調査結果をまとめた。09年度以降11年ぶりに3億円を下回った。減少要因として、イノシシの捕獲増や、県内で広がっている伝染病「豚熱」の影響もあるとみている。被害額が2億円を下回るよう、今後も対策を続けていきたいとしている。

 被害額は近年、3億円を少し上回る数字で推移。19年度は3億626万円だったが、20年度は前年度より1619万円減った。

 被害に遭った作物別の割合は、果樹77%、野菜11%、水稲6%。鳥獣別の被害額ではイノシシ1億2869万円(44%)、シカ4279万円(15%)、サル4149万円(14%)、アライグマ3288万円(11%)、鳥などそのほか4423万円(15%)だった。

 前年度と比べると、イノシシによる被害額が2372万円減った。県農業環境・鳥獣害対策室によると、毎年1万7千匹を捕獲する目標を立てており、20年度も計画に近い匹数を捕獲した。それに加え、豚熱の影響もあるのではないかという。

 特に紀北地域でイノシシの被害額が減った。例えば紀の川市は被害額が1646万円で、前年度から1386万円減少。豚熱の影響でイノシシの生息数が減っていることも考えられ、イノシシを見掛けることが少なくなったという狩猟者の声もあるという。

 紀南地方の市町村別の被害額は、田辺市が最も多い3435万円、次いで印南町1512万円、那智勝浦町695万円。田辺市の鳥獣別被害額は、サル1423万円、シカ776万円、イノシシ560万円など。

 同対策室は「被害額2億円以下を目標にしたい。これまでの対策を継続するとともに、特にシカについてもう少し捕獲できないか研究している。防護柵についても、設置した所は効果が出ており、設置を推進していきたい」と話している。

■大型おりでサル捕獲

 田辺市の鳥獣害による農作物被害額は18年度3494万円、19年度3473万円、20年度3435万円と微減傾向にある。

 サルによる被害が一番多く、20年度は被害額の約4割を占めた。ミカンや梅など果樹への被害が最も多いという。

 市は16年度以降、中芳養や上芳養地区に計3基の大型の捕獲おりを設置している。おりは、入ったサルの匹数に応じて閉まったり、スマートフォンによる遠隔操作で閉めたりすることができる仕組み。20年度末までに計102匹を有害捕獲した。

 鳥獣害の防護柵の設置補助事業もしており、本年度は、1次と2次募集合わせて計169件の申し込みがあった。

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