和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

日脳、おたふくのワクチンが不足 子どもの予防接種に影響

 日本脳炎とおたふくかぜ(流行性耳下腺炎)のワクチンが、全国的に不足している。和歌山県紀南地方でも2021年度に接種の対象だった子どもたちが22年度に先送りになったり、予約の受け付けを停止する医療機関が出たりする影響が生じている。


 ワクチン不足の要因は、いずれも製造会社での製造工程で不備があったため。

 日本脳炎ワクチンは法律に基づいて原則無料で受けられる「定期接種」で、計4回接種する。厚生労働省などによると、製造する2社のうち1社に製造上の問題が生じ、昨年11月から約1カ月間、製造を停止した。既に再開しているが、2社合わせても21年度の供給量は20年度(約405万回分)より約80万回分減る見込みという。そのため、厚労省は1回目と2回目の接種を優先し、3回目と4回目の対象者を22年度に先送りするよう、都道府県に通知した。

 一方、おたふくかぜのワクチンは希望者が受ける「任意接種」(原則自己負担)だが、日本小児科学会は1歳と小学校入学前の計2回の接種を推奨している。製造する2社のうち1社で4月までに製造工程に不備が見つかった。同社によると、出荷予定だったワクチンを廃棄し、在庫も4月中になくなった。出荷の再開は10月末になるという。

 「日本脳炎ワクチンの供給量が大幅に減少しております」「おたふくかぜワクチンが欠品しております」。田辺市たきない町の小児科医院「ビィ」は4月下旬から、ホームページの「お知らせ」欄に、こう記している。

 番浩院長によると、おたふくかぜワクチンはそれまでに入荷していた物を使い、1回目の接種を優先して行っているが、間もなくそれも尽きるという。日本脳炎ワクチンは3回目、4回目の接種を厚労省の通知通り、22年度に先送りして対応している。

 田辺市は日本脳炎ワクチンについて、生後1、2カ月の時に3回分の接種券をまとめて郵送している。健康増進課は「2回接種していれば、ある程度の免疫は付く。3回目が本年度中に打てなくても、来年度に忘れずに打ってもらえれば」と話す。

 4回目の接種券については、例年なら4月から5月にかけて、市内の小学4年生に学校を通じて渡していたが、本年度は配布時期を冬に遅らせるという。

 おたふくかぜワクチンについては、田辺市は1回分は2千円の自己負担で接種できるよう助成している。接種券は水ぼうそうなどの接種券とともに11カ月児相談の際に渡しており、ワクチンが不足している本年度も同様に配布している。接種券の有効期限は対象の子どもの1歳の誕生日から1年間となっているが、ワクチン不足などで期限内に接種できなくても健康増進課の窓口で再発行できるという。

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