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特別展で松煙墨展示 白浜の南方熊楠記念館

松煙墨の製作工程などを紹介する展示(和歌山県白浜町の南方熊楠記念館で)
松煙墨の製作工程などを紹介する展示(和歌山県白浜町の南方熊楠記念館で)
 和歌山県白浜町の南方熊楠記念館は開催中の特別展「熊野・熊楠を愛するひとたち展パートⅡ」で、新たに松煙墨(しょうえんぼく)に関する展示を始めた。

 アカマツとニカワを混ぜて作る松煙墨は、古くなるとともに作品の墨色が変化し、色味が出やすい。記念館によると、熊楠は留学先の米国や英国で使っていたインクをヒントに、当時文房具商をしていた多屋孫次郎に紀州特産の松煙で墨汁の製造を勧めた。

 助言を受けた多屋は製造を開始。「南方先生指導」のレッテルを貼って「熊野墨汁」として問屋を通じて売り出したところ、人気になった。

 高垣誠館長は「熊楠が地域の産業を大切にしていたことが分かるエピソードではないか」と話している。

 その後、中国東北部へも輸出するようになったが、うまくいかなかった。当時、墨汁はサイダー瓶に入れていたため、寒冷地では割れてしまったからという。

 現在は田辺市鮎川の墨工房「紀州松煙」(堀池雅夫代表)が松煙から墨を一貫して製造。特別展では、松煙墨の特徴や製造過程、墨を使って描いた堀池さんの作品を見ることができる。

 展示は5月19日まで。開館時間は午前9時~午後5時。入館料大人600円、子ども300円。木曜休館。問い合わせは南方熊楠記念館(0739・42・2872)へ。

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