和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月19日(木)

「津波の日」に合わせ防災訓練 県内各地で手順確認

教科書で頭を守りながら運動場へ避難する児童(5日、和歌山県田辺市上屋敷1丁目で)
教科書で頭を守りながら運動場へ避難する児童(5日、和歌山県田辺市上屋敷1丁目で)
閉じ込められた人を助けるため、チェーンソーで穴を開ける訓練の参加者(4日、新宮市で)
閉じ込められた人を助けるため、チェーンソーで穴を開ける訓練の参加者(4日、新宮市で)
 「世界津波の日」(5日)に合わせ、4、5日、和歌山県内各地で大地震に備えた防災訓練があった。住民がいち早く高台へ逃げる手順を確認したり、警察や消防が災害対応の連携を深めたりした。訓練には重点実施期間の10月31日~11月15日に、自治体や学校、町内会など約10万7千人が参加する予定。

■避難手順を確認

 田辺市上屋敷1丁目の田辺第一小学校(田中誠校長、191人)は5日、大津波警報が出たとの想定で、避難訓練をした。

 訓練では、授業中に大地震が発生したと放送があり、児童は机の下に身を隠した。その後、教科書で頭を守りながら、運動場へと避難。3分ほどで全児童が集合し、高台への避難について説明を受けた。

 6年生の助川慶次君は「訓練はスムーズにできた。大阪で震度6の地震を経験したことがある。突然の揺れには驚くけれど、学校でみんながいると安心できる。落ち着いて行動すれば大丈夫だと思う」と話した。

 田中校長は「整然と行動できた。年に数回訓練しているので、慣れている部分がある。でも地震はいつ、どこで起こるか分からない。今後もさまざまな場合を想定して訓練したい」と講評した。

■警察や消防が連携

 新宮市三輪崎の新宮港では4日、警察や消防、民間会社などによる合同訓練があった。強い揺れや津波で甚大な被害を受け、幹線道路が寸断されたと想定。民間のドローンで状況を把握してから救助に向かうなど、実践的な連携の手順を確認した。

 訓練には、新宮署や串本署など県警、串本海上保安署、新宮市や同市消防本部、ドローンの活用で警察と災害時の協定を結ぶ新宮市内の会社の関係者ら44人が参加した。

 ドローンを飛ばし、人が閉じ込められている恐れのある家屋や車を確認。駆け付けた警察と消防がチェーンソーで穴を開けたり、車のドアを外したりし、人を救助する訓練などをした。海保の巡視艇も串本署員の海上輸送で参加した。

 新宮署の小畑博昭署長は「引き続き各機関との協力関係を維持し、より連携を強化したい」と話した。


 【世界津波の日】国連が定めた共通記念日。1854年の11月5日(旧暦)に起きた安政南海地震の際、広川町の実業家浜口梧陵が稲わらに火を付け、村人を高台に導いて大津波から命を救った逸話「稲むらの火」に由来する。