和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年11月15日(金)

ソテツの新芽を食害 熱帯チョウ紀南で発生

クロマダラソテツシジミ
クロマダラソテツシジミ
 ソテツの新芽を幼虫が食害する熱帯チョウ「クロマダラソテツシジミ」が、和歌山県紀南地方に飛来、発生している。食べられて葉が茶色になった株も見られる。県立自然博物館によると、県内での越冬は確認されておらず、南方から飛来しているという。

 このチョウは羽を広げても2・5センチほど。白浜町では、道路沿いに植えられたソテツで多く発生している。成虫はソテツの周りをゆっくり飛び回り、葉先や周辺の草花などに止まる。雄は縄張りを持って雌を待つ。雄同士争って羽が傷んだ個体もいる。幼虫は全長1・5センチ前後。成虫は11月ごろまで出現する。

 本来、南アジアや東南アジアなどの熱帯地域に分布していた。日本では1992年に沖縄で初記録、2000年代には南西諸島で定着が確認された。和歌山県内では08年夏に太地町で見つかり、その後各地でよく見られるようになった。

 紀南では近年、ほぼ毎年のように発生しており、県立自然博物館は「南西諸島に定着して、和歌山県までの距離が短くなり、飛来しやすくなったのでは」と推測している。