和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年11月15日(金)

新こども園開設で協定 みなべ町と運営の社会福祉法人

新こども園開設に当たって協定書を交わした(左から)小谷芳正みなべ町長と社会福祉法人イエス団の黒田道郎理事長、神谷羊子愛之園保育園長=18日、和歌山県みなべ町芝で
新こども園開設に当たって協定書を交わした(左から)小谷芳正みなべ町長と社会福祉法人イエス団の黒田道郎理事長、神谷羊子愛之園保育園長=18日、和歌山県みなべ町芝で
新たに整備する「みなべ愛之園こども園」の完成予想図
新たに整備する「みなべ愛之園こども園」の完成予想図
 和歌山県みなべ町は18日、2022年4月に同町南道の高台に開設予定の幼保連携型認定こども園について、施設を建築、運営する社会福祉法人イエス団(本部・神戸市)と開設に関する協定を結んだ。町が施設の整備、運営について全面的に支援することなどを条文に盛り込んだ。新こども園は、海岸に近いなど町内で津波の心配がある地域にある同法人の愛之園保育園と町立の南部保育所、南部幼稚園の3園を統合した施設。名称は「みなべ愛之園こども園」と決めた。

 現在、町が整備中の防災拠点内の標高約22メートルの所に建設する。鉄骨平屋で建築面積は2812平方メートル、園庭は2100平方メートル。部屋数11で定員は0~5歳児160人。

 町が町有地を無償提供し、建築整備に対して町は、本年度と来年度の2年で国庫補助と合わせて計約10億円の補助を見込んでいる。

 18日、同町芝の町役場で小谷芳正町長と同法人の黒田道郎理事長が協定書に調印した。

 条文には、新こども園の整備や運営に関して町は法人と協議の上、全面的に支援すること▽就業規則や給与規定、運営について必要な事項は町と法人が協議し、決定すること▽地域の子育て支援、福祉向上のために、法人は運営に支障のない範囲で園を開放し、災害発生時には町の要請に応じて避難施設として活用に協力すること―などを挙げている。

 また、調整事項の円滑な検討や協議を進める機関として「新こども園開設協議会」や「開設連携調整会議」、保護者会も入った「三者連絡協議会」も設置することとした。

 あいさつで、小谷町長は「当初の計画より2年ほど遅れているが、建築に向けて協力してやっていきたい」、黒田理事長も「いろいろな課題があるが、町の方々のために尽くす園として、全面的に支援していく」と述べた。

 調印の後、第1回の開設協議会を開き、新こども園の名称も決めた。

 愛之園保育園の神谷羊子園長は「園児数は現在の2・6倍以上になることに責任と覚悟を持って取り組む。子どもを常に真ん中に置き、大切に保育していく。家庭支援も大切な役割と考えており、家庭と一緒に考えて子育てできたらと思っている」と語った。

 また「今している世代間交流や社会体験、自然体験といった取り組みの良い部分は継続したい。公立の先生とも話し合い、それぞれの行事も引き継げたら」と話した。児童発達支援や子育て支援の事業もする方針。

 豊田泰猛町教育長は近年、町内の母親の就労が進み、こども園への期待が大きいことも説明し「町民の宝である子どもたちの命を輝かせる教育の支援をしていきたい。それは愛之園が目指す方向と同じだと考える」と話した。

 神谷園長は9~10月に着工し、来年12月ごろに完成の見通しであること、その間、連携調整会議で引き継ぎや合同保育の話し合いもし、来年12月ごろまでに入園募集や説明会もしたい考えを示した。

 同法人は、関西圏を中心に福祉施設や老人施設など約40の事業所を展開しており、保育園や認定こども園は23園運営している。みなべ町の愛之園保育園は1928年の開設で、90年以上の歴史がある。