和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年11月15日(金)

紀南の高台需要続く 地価公示、県平均の住宅地上昇率は全国最下位

地価が上昇した上富田町南紀の台の住宅地
地価が上昇した上富田町南紀の台の住宅地
 県は18日、県内の公示地価を発表した。住宅地では津波の危険性が少ない紀南の高台の需要が依然高く、上昇率の上位を占めた。最高は3年連続で上富田町南紀の台だった。一方、県全体の住宅地の上昇率は前年に引き続き全国最下位、商業地は2番目に低かった。(2面に関係記事)

 国土交通省土地鑑定委員会が1月1日時点の価格を調査し、公表している。県内では23市町の180地点を調べた。

 住宅地では、前年以前から継続して調査している110地点の平均上昇率はマイナス1・2%で29年連続の下落。上昇率は全国最下位で、マイナス1・3%だった前年も秋田県と並んで最下位だった。全国平均は0・8%の増加だった。

 県内で上昇したのは12地点で、このうち5地点が津波の危険性がない紀南の高台。最高は「上富田町南紀の台19―28」(上昇率2・4%、1平方メートル当たり3万3500円)で6年連続の上昇。続いて「田辺市神島台19―5」(1・9%、6万9800円)が2番目、「同市南新万2―6」(0・9%、10万8千円)が3番目に高かった。「串本町サンゴ台1184番28」(0・8%、5万500円)、「白浜町堅田坂巻2760番44」(0・3%、3万4600円)も上昇した。残り7地点は和歌山市内だった。

 商業地は継続調査している60地点のうち、施設が集積し、幹線道路沿いで利便性が良いなどの要因で和歌山市の18地点が上昇した。一方、県内平均上昇率はマイナス0・9%で、住宅地と同じく29年連続下落となった。

 全国では島根県のマイナス1・1%に次ぎ、新潟、鹿児島と並んで2番目の低さだった。全国平均は3・1%の増加。少なくともここ5年は、近畿6府県で唯一の下落となっている。

 また、工業地(継続調査3地点)もマイナス0・9%で全国最下位だった。

 一方、下落幅が大きかったのは、住宅地では津波被害が心配される沿岸や、交通の利便性が低い地域。商業地では、周辺の大型店舗へ顧客が流出したり、外部からの需要が少なく顧客が限定されたりしている地域などだった。

 住宅地や商業地とも、全国平均で上昇幅が拡大する傾向にある中、和歌山県は下落幅が依然大きい。県内では、津波への心配に加え、人口減少、少子高齢化、地域経済の弱さなどのマイナス要因も大きいという。

 住宅地の価格上位地点は和歌山市内が占めた。最高はJR和歌山駅に近く、付近で再開発事業があるマンション用地「和歌山市美園町2丁目80番」の1平方メートル当たり17万円。商業地も和歌山市内が上位を占め、JR和歌山駅前の「和歌山市友田町5丁目50番外」の44万2千円が21年連続で最高となった。