和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年11月15日(金)

21年度末完成目指す 田辺市、逢坂隧道を大規模修繕

大規模な修繕工事が進められている逢坂隧道(和歌山県田辺市中辺路町で)
大規模な修繕工事が進められている逢坂隧道(和歌山県田辺市中辺路町で)
逢坂トンネル
逢坂トンネル
 和歌山県田辺市が、同市中辺路町の福定―近露にある市道近露福定線のトンネル「逢坂隧道(ずいどう)」で、大規模な修繕工事を進めている。点検の結果、崩れる恐れがあるとして5年前から通行止めにしていたが、災害時に国道311号の迂回(うかい)路となることから、利用再開を判断。2021年度末までの完成を目指している。

 市や県によると、逢坂隧道は延長555・2メートル、幅員3・5メートルで、1945年の完成。90年4月に、新しい「逢坂トンネル」を含めた現在の国道311号の約5・6キロが供用開始されるまで、メインルートとして利用されてきた。

 山梨県の中央自動車道笹子トンネルで起きた天井板崩落事故を受けた道路法の改正により、田辺市が2014年11月に逢坂隧道を点検したところ、トンネル内を覆うコンクリートに多数のひび割れを確認。完成から年月が経過してコンクリートが劣化している上に、コンクリート外側の地山から力が加わったことにより生じたもので、市は「トンネルが閉塞(へいそく)に至る恐れがある」とし、15年3月から通行止めにしている。

 その後、庁内でこのトンネルの必要性や重要度について再検討。自然災害や事故で国道311号が通行止めになった際の迂回路であることや、生活道路として利用されており地元からも修繕要望が出されたことから、大規模な修繕をして利用を再開することを決めた。

 昨年秋から工事に取り組んでおり、修繕工事の費用は約4億8千万円の見込み。6割近くが国の補助という。

 市土木課は「この規模のトンネルを大規模に修繕するのは市としては初めて。土質に問題があることが原因で、それが工事の安全対策や期間にも影響しているが、細心の注意を払いながら早期完成を目指して取り組みたい」としている。