和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月24日(火)

新型肺炎、飲食店を直撃 宴会減、観光も出張客も

例年に比べ、人通りが少ない味光路(6日午後6時半ごろ、田辺市湊で)
例年に比べ、人通りが少ない味光路(6日午後6時半ごろ、田辺市湊で)
 新型コロナウイルスの感染拡大の影響が、紀南の飲食店を直撃している。宴会の自粛ムードが高まり、キャンセルしたり、予約を控えたりする動きがある。観光客や出張のビジネスマンも減少。各店は「初めての状況。いつ終息するのか分からないのが不安」と危機感を露わにしている。

 県内有数の飲食街である田辺市の「味光路」も、客が激減している。最大80人の宴会に対応できるという飲食店では「3月の宴会は全てキャンセル。300人以上の客を失った」と肩を落とす。「歓送迎会を控え、本来なら年末年始に次いで予約が入る時期だが、電話はほとんど鳴らない」と嘆く。

 30席程度の居酒屋では「大阪や名古屋から訪れるビジネス客のキャンセルが目立つ。地元の常連さんは利用してくれるが、個室がないワンフロアなので、敬遠されることもある」と話す。

 スタッフに欠員が出たことで、店側から団体を断ることもあり「新型コロナと人手不足のダブルパンチ。今年の歓送迎会はないものと思っている。いまは我慢の時期だが、いつまで続くのか」とため息をつく。

 飲食街の「大口客」となる市役所や学校関係者は送別会の開催可否に頭を悩ませている。市は職員に自粛こそ求めていないが、「延期可能な催しは延期し、開催する場合はできるだけ少人数。感染予防に万全の対策を講じ、節度のある言動を取るように」と通知している。ある職員は「事実上の自粛と受け止めている」と話す。

 田辺商工会議所は「飲食や宿泊事業者を中心に、経営資金について相談が増えている。東日本大震災も3月だったが、あの時は自粛ムードを吹き飛ばそうと呼び掛けられた。今回は状況がまるで違う。先行きが不透明な中、何とか持ちこたえられるよう支援していきたい」と話している。