和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月23日(月)

老朽施設をドローンで点検 田辺市、安全・安価に

練習用の小型ドローンを操作する市職員(和歌山県田辺市役所で)
練習用の小型ドローンを操作する市職員(和歌山県田辺市役所で)
ドローンで撮影した市役所と紀南文化会館。目視では見えない屋上の状況が分かる(和歌山県田辺市提供)
ドローンで撮影した市役所と紀南文化会館。目視では見えない屋上の状況が分かる(和歌山県田辺市提供)
 和歌山県田辺市は、老朽化施設の点検にドローンの導入を計画している。調査費用の軽減や期間の短縮、安全性確保が目的。市有施設は1300棟以上あり、目視での確認では人手も不足する。空からの「目」が適正管理の鍵を握りそうだ。

 従来、目視が困難な屋根や外壁などは、足場を組んで点検しており、費用も時間もかかっていた。市営団地の点検では足場だけで40万~50万円かかることもあるという。屋根の形状や施設の立地条件によっては、それでも十分な確認ができていなかった。

 購入を検討しているのは折り畳んで持ち運べるドローンで、1200万画素の静止画や動画が撮影でき、障害物を検知するセンサーなども備えている。開会中の3月市議会に購入費など20万1千円の予算案を提出している。

 ドローン導入後、すぐに操作できるよう、建築課では職員有志が自費で小型ドローンを購入して、昨年6月から練習してきた。

 担当職員は「ドローンを使えば問題箇所が一目瞭然。屋上の排水溝や室外機の状況まで画像でしっかり確認できる」と効果を実感。市内では空き家が増えているが「所有者に写真で地上からは見えない傷み具合を伝えることで、対策の必要性を訴えやすくなる」と話す。将来的には土砂災害の現場確認や橋の点検など活用の場を広げていきたいという。