和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月19日(木)

興味津々トレイルラン 大会中止になったけれど

ゴールまでもう少し。尾根に続く道から広がる壮大な景色に疲れも吹き飛ぶ(みなべ町で)
ゴールまでもう少し。尾根に続く道から広がる壮大な景色に疲れも吹き飛ぶ(みなべ町で)
 みなべ町で23日に開催予定だったトレイルランニング大会は、新型コロナウイルス感染症の影響で中止になった。今回選手として申し込み、走る気になっていたのでがっかり。1人で走ることにした。

 走ったのはロング部門(32キロ)。同町谷口の生涯学習センターから南部梅林、奥みなべ梅林、清川球場、三里峰を抜け、同町広野の高城公民館までのコース。

 朝、センターに行くと、実行委員会メンバーが、中止を知らずに来た人に備えて待機していた。参加賞のTシャツを頂いたので、元着ていたシャツを脱いで着替え、1人での静かなスタートだった。

 今年は開花が早かった梅。もう見頃は過ぎてしまったが、まだ花が残っている所もあり、冷えた空気の中、かすかに香りがする。前方から来たハイカーとあいさつをする。清川まで来ると炭焼きのにおいも漂ってきた。

 清川球場近くの登りで、三里峰の水畝神社に向けて歩く実行委メンバーや有志のグループと出会った。少し言葉を交わして先に。ここから先が山場だった。急な登りの連続。ソフトキャンディーを食べながら、登りの区間は歩いて進む。途中、球場から走っているという何人かのグループに会った。センターから走る単独のランナーもいた。

 水畝神社に出た時、普段取材で顔を合わせる地元の人の姿を見た時はほっとした。「これどうぞ」とバナナや、炭火を使った焼きたてのサンマをいただいた。「頑張って」と背中に声援を受けて再スタート。

 気持ちもおなかも充電し、明るい森の腐葉土のやわらかい道を楽しみながら進む。高城エリアまで来ると、楽しみにしていた尾根道の爽快な景色が広がった。山道から出て、最後は舗装路を走り、公民館にゴールした。

 コースには、滑りやすい所は木で足場を作ったり、道を間違えないように目印を付けたり、実行委のメンバーや地元の人たちがかけた手間の跡が最後まで続いていた。他にもいろいろと準備をしてきた人たちには、きっと中止は残念だっただろうなと思った。来年は開催できることを願っています。
(湯川優史)