和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月27日(金)

歴史絵巻繰り広げる 水門祭、住民総出でにぎわう

色鮮やかな衣装に身を包んだ稚児の行列(写真はいずれも串本町大島で)
色鮮やかな衣装に身を包んだ稚児の行列(写真はいずれも串本町大島で)
地元の青年らでつくる「大同会」が5演目を水門神社境内で奉納した
地元の青年らでつくる「大同会」が5演目を水門神社境内で奉納した
櫂伝馬競漕で勝った組と負けた組による獅子屋台の押し合い
櫂伝馬競漕で勝った組と負けた組による獅子屋台の押し合い
化粧をした「商人」がそろばんを手に紙吹雪を散らして盛り上げた
化粧をした「商人」がそろばんを手に紙吹雪を散らして盛り上げた
櫂伝馬競漕で勝利した「鶽」の船
櫂伝馬競漕で勝利した「鶽」の船
 串本町大島にある水門(みなと)神社の例祭「水門祭」(県無形民俗文化財)が7、8の両日に営まれた。地元の青年らによる櫂伝馬競漕(かいてんまきょうそう)や獅子舞、若者が弓を放つ「お的の儀」、役者らが舞台を回る「つるの儀」などの歴史絵巻を住民総出で繰り広げ、多くの見物人でにぎわった。


 豊漁や商売繁盛などを祈願する祭り。主祭神の誉田別命(ほむだわけのみこと)=応神天皇=が大島近くの通夜島に立ち寄った際、島民が船で出迎えたという由来に基づいている。

 本宮の8日は、午前9時半からの「御前の儀」で始まり、続いての「お的の儀」では滝本虎之介さん(19)と稲田駿也さん(18)が多くの人が見守る中、的を狙って6本ずつ矢を放った。

 神前に氏子らを招いてお神酒や料理を振る舞う「大座の儀」の後、正午からは神官、弓頭などの行列がご神体を大島港まで運ぶ「神幸の儀」、ご神体を当船に載せてお旅所の苗我島へ行き神事を営む「渡御の儀」、「鳳(おおとり)」「鶽(はやぶさ)」の2隻の船にそれぞれ若者17人が乗り込み、大島―串本間を往復して勝敗を競う櫂伝馬競漕などがあった。

 櫂伝馬競漕の後、色鮮やかな衣装に身を包んだ稚児らの行列が大島港に設置された舞台(つる)を3周する「つるの儀」があり、化粧をした「商人」が、そろばんを手に「天下太平、五穀豊穣(ほうじょう)、豊年満作」などと口上を述べながら、紙吹雪を散らして場を盛り上げた。

 ご神体を乗せた当船が港に戻ると、豊漁のご利益があるとされる鏡を取り合う「鏡取り」、櫂伝馬競漕で勝った組と負けた組による獅子屋台の押し合いなどもあった。