和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2025年04月27日(日)

田辺ファン広がれ 〝私流〟の交流企画続々、関係人口講座、和歌山県

修了証書を手にした「たなコトアカデミー」6期生と田辺市の関係者ら(和歌山県田辺市東山1丁目で)
修了証書を手にした「たなコトアカデミー」6期生と田辺市の関係者ら(和歌山県田辺市東山1丁目で)
 和歌山県田辺市が都市住民を対象にした関係人口講座「たなコトアカデミー」の第6期が修了した。受講生13人がそれぞれの視点で、田辺ファンが広がるプランを考案。実現に向け動き出している。


 関係人口は「観光以上、定住未満」。すぐに移住は難しいけれど、地方と関わりを持ちたいという層を指す。第6期講座は昨年9月に開講し、東京での講習会や田辺市での現地研修を通じ、第1次産業の従事者らと交流してきた。プランの発表会は市役所であった。

 広島県の会社員、貴船桃佳さん(27)は昨年、上富田町出身の夫と結婚したことで、紀南に興味を持った。「地元にいい思い出があれば、たとえ地元を離れてもいい関係は続く。同じようにパートナーの地元に興味を持てば訪れる機会が増える」と考えた。

 そこでパートナーの地元に興味を持つ仕掛けとして、自身と田辺の関わりをSNSで発信するとともに、パートナーがきっかけで田辺に関わりを持った人同士の交流イベントを企画した。今年中に市内で開きたいという。

 東京都杉並区職員、山本倖大さん(23)は田辺市と杉並区の自治体交流を提案。「市の物産を杉並区で販売したり、職員の人事交流をしたりしたい。私も田辺市で働いてみたい」と述べた。

 茨城県の大学院生、後藤莉子さん(23)は田辺市でインターンシップ(就業体験)の経験があり、地域との関わりを持っている。さらに深く関わるため「インターン生同士の同窓会や第1次産業のインターン企画に取り組みたい」と語った。

 発表会で、6期生13人のうち2人が紀南への移住を決めたことを報告した。真砂充敏市長は「一つのまちで、こんなにもさまざまな関わり方がある。関係人口が2地域居住となり、最終的に移住になればうれしい。そうした内容の発表もあり、実現してほしい」と講評した。

 講座はこれまで5期67人が修了し、梅の収穫に駆け付けたり、東京での物産販売を手伝ったりとそれぞれのスタイルで関係を深めている。