和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2025年03月14日(金)

県財政、警報時より悪化 27年度に「貯金」枯渇か、和歌山

今後の県の財政収支見通しを発表する岸本周平知事(和歌山県庁で)
今後の県の財政収支見通しを発表する岸本周平知事(和歌山県庁で)
財調・県債基金の年度末残高見込み(億円)
財調・県債基金の年度末残高見込み(億円)
 岸本周平知事は今後の和歌山県財政の見込みについて、「財政危機警報」を出した2年前より悪化しているという新たな試算を明らかにした。貯金に当たる財政調整基金(財調)と県債管理基金(県債基金)残高が、警報発出時より1年早い2027年度末に枯渇する見込み。岸本知事は「悪化のスピードが早まっている。緊張感を持って、より一層の財源捻出をしていかなければならない」と危機感を示した。

 財調と県債基金の残高はこれまで計200億円程度で推移し、24年度末も207億円となるが、25年度末は133億円に減る。25年度当初予算案が、物価や金利、賃金の上昇による歳出増で過去3番目に多い74億円の歳入不足となり、県債基金を取り崩すため。基金残高の目標を150億円以上としているが、26年度末で83億円に減り、27年度末に枯渇すると見込んでいる。

 岸本知事は23年2月、就任後最初の当初予算案発表で「財政危機警報」を出した。それまでの基金残高の試算では、25年度末で171億円、26年度末で139億円と見込んでいた。しかし、物価高騰や金利上昇などの影響を踏まえて推計し直したところ、県債返済の公債費が膨らみ、25年度に枯渇する恐れが判明した。

 県は公債費の影響を抑えるため、22年度決算剰余金を活用して「公債費臨時対策基金」を創設するとともに、24年度は既存事業の要求額を前年度比で削減する「マイナスシーリング」を5%から15%に引き上げた。さらに、既存事業の見直しや有利な県債への振り替えなどにより、基金残高の枯渇を28年度末まで3年間遅らせるとしていたが、今回の試算では枯渇年度が1年前倒しの見込みとなった。

 公債費、人件費、社会保障関係経費の合計は、27年度には25年度比で119億円増え、29年度には217億円増える見込みという。

 岸本知事は、健全化対策として既存事業の見直し、国庫支出金や交付税措置のある地方債などの活用、予算執行の効率化を挙げている。