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2024年12月24日(火)

令和ロマン、史上初の連覇で「終わらせた」20回の歴史 『M-1』“第3章”突入へ

令和ロマン(左から)高比良くるま、松井ケムリ(C)ORICON NewS inc.
令和ロマン(左から)高比良くるま、松井ケムリ(C)ORICON NewS inc.
 両手を横に広げて、ゆっくりと階段を降りていった高比良くるま(※高=はしごだか)は、センターマイクの前に立つくなり、不敵な笑みを浮かべた。「終わらせよう」。過去最多1万330組がエントリーした20回目の『M-1グランプリ2024』は、令和ロマンが大会史上初となる連覇を成し遂げ幕を閉じた。2001年の中川家の優勝から、笑い飯が悲願の戴冠となった2010年までを第1期『M-1』とすれば、15年の再開から数えると今年でちょうど10回目となり、くるまの言葉通り、第2期『M-1』が終わったともいえる。そこで、記念すべき今年の『M-1』とは、一体なんだったのかを考えてみたい。

【優勝会見映像】令和ロマンが史上初の連覇達成!2年連続トップバッターに本音

■オープニング映像は例年以上のスペシャル感 人生背負った審査員たち

 今大会のファイナリストは、史上初の連覇を目指す令和ロマン、昨年準優勝のヤーレンズを筆頭に、多彩な顔ぶれに。真空ジェシカは4年連続、令和ロマンとトム・ブラウンとヤーレンズは2度目、初出場はエバース、ダイタク、ママタルト、バッテリィズ、ジョックロックの5組となった。決勝当日に行われた敗者復活戦では、A~Cブロックを勝ち上がった3組から、芸人審査員5人による決選投票を実施。インディアンスとマユリカが同数となり、2組の決選投票が急きょ行われた結果、マユリカが勝ち上がるという、決勝前から劇的な展開となった。

 こうして迎えたオープニング。「『M-1グランプリ』20回目の幕開け。夢を追いかけ、戦った。漫才師たちの夢の入口」というナレーションとともに、2001年からの名シーンが次々と流れていき、ひとつの大きな歴史を振り返っていく構成になっていた。最後は、大会創設者である島田紳助さんによる直筆メッセージ「いつまでもM-1が夢の入口でありますように」が映し出され、例年以上のスペシャル感を印象付けた。

 今大会では、審査員の人数と顔ぶれも新たなものになった。2001年のスタート時から基本的な形となっていた「7人審査員制」から、歴代王者が審査した2015年以来となる「9人審査員制」へとシフト。昨年の審査員だった松本人志(ダウンタウン)、山田邦子、富澤たけし(サンドウィッチマン)が今年は担当せず、若林正恭(オードリー)、礼二(中川家)、山内健司(かまいたち)、塙宣之(ナイツ)、博多大吉(博多華丸・大吉)、哲夫(笑い飯)、柴田英嗣(アンタッチャブル)、海原ともこ(海原やすよ・ともこ)、石田明(NON STYLE)という顔ぶれとなった。

 審査員登場時のあいさつで、多く飛び出したワードは“人生”。柴田が「『M-1』は人生変わりますし。みなさんの人生かけたネタ、私もきょうは楽しみにしております」と口にすると、石田も「2008年の『M-1』で優勝させてもらったんですけど、その時の上位4組(NON STYLE、オードリー、ナイツ、笑い飯)がここに並んでいると。すごくうれしいんです。僕も人生変えてもらったんで、きょう誰かの人生が変わると思うとドキドキしています」とコメント。若林は「初めて漫才に点数つけてみるんですけど。2008年の敗者復活では最後(の出番で)、現場に30分くらいしかいられなかったので、きょうは頭からいられてうれしいです。『M-1』に人生救ってもらったんで、一生懸命審査します」と言葉に力を込めた。

■阿部一二三の笑神籤が引き当てた「令和ロマン」 くるまが「終わらせた」歴史

 舞台は整い、いざ決勝がスタート。パリ五輪柔道金メダリストの阿部一二三選手が、順番を決める笑神籤(えみくじ)を引くと、出てきたコンビ名を見て、思わずMCの今田耕司の方になんとも言えない表情を向けた。今田もそこに書かれているコンビ名を確認し「いやいやいや…」と驚きの声を上げると、阿部選手から「1組目は令和ロマンです」とコールされた。昨年、初代王者・中川家以来となるトップバッターでの優勝を果たした令和ロマンが、今年もトップバッターに選ばれるという“劇的な展開”に、会場中はもちろんSNSがどよめいた。

 ただならぬ雰囲気の中、王者の風格をまとった2人が登場するなり、くるまが発したのが「終わらせよう」。去年からさらにパワーアップした姿を見せつけて、850点という高得点を叩き出した。審査の基準となることから、過去を振り返ってみても、トップバッターの得点がなかなか伸びない傾向にある中、令和ロマンは2年連続でその壁を乗り越えた。

 『M-1』といえば“ダークホース”の活躍にも注目が集まるが、今年はバッテリィズのネタが爆発した。2017年結成で初の決勝進出を果たした2人だが、1本目は「偉人の名言」を題材にネタを披露。審査員たちの高得点が発表される度に、ボケのエースは飛び上がって大喜び。ファーストステージでは最高得点の861点を獲得した。95点をつけた若林が「小難しい漫才が増えてくる時代の中で、なんかワクワクするバカが現れたなと(笑)。日本を明るくしてくれそうで。(ツッコミの)寺家さんが、漫才のリズムをキープする腕も確かだなと思いました」と絶賛した。

 4年連続で決勝進出を果たした真空ジェシカも、令和ロマンと1点差の849点で3位に。審査員の大吉も「本当に全部面白くて。令和ロマンと差はつけないといけないと思って、上にしましたけど。見る度にうまくなっている。この2人の技術がものすごい」と賛辞を送った。川北茂澄は、ネタ後のトークで「僕らを4回も呼んでくれる番組は、ここと『マルコポロリ』しかない」と口にしていたが、回数を重ねると決勝の舞台に上がることも難しくなる中、進化を続けて決勝の舞台で結果を残した。

 最終決戦では、3組それぞれが持ち味を存分に発揮した漫才で魅了。審査員も大いに悩み、若林が「それぞれの武器でハイレベルなんで、決めるのが難しい。まだ迷ってますね」とコメントし、礼二も「まだ決めてません」と笑顔で開き直り、塙も「ちょっと、今年が一番悩んでます」と苦悩をのぞかせた。最終的には最も名前をよばれた令和ロマンが、偉業を成し遂げ圧倒的な存在感を見せつけたが、くるまが「次は審査員をやりたいです」と叫び、松井ケムリが「オレたちがチャンピオンだ!」と高らかに宣言して、20回目の祭りが終わった。

 2015年に再開した際には、歴代王者による審査員9人体制が採用され、それから10年の月日が経ち、今回も9人に。15年と同様にそこには松本がいなかった。そして、くるまが発したのが「終わらせよう」。“ミスターM-1”笑い飯がラストイヤーで優勝を飾った2010年から14年が経ち、哲夫が審査員として参加する中、令和ロマンが新たな歴史を刻み、冒頭の言葉通り『M-1』に新時代をもたらした。

■M-1グランプリ 優勝者一覧【参加組数】
2001年度 中川家【1603】
2002年度 ますだおかだ【1756】
2003年度 フットボールアワー【1906】
2004年度 アンタッチャブル【2617】
2005年度 ブラックマヨネーズ【3378】
2006年度 チュートリアル【3922】
2007年度 サンドウィッチマン【4239】
2008年度 NON STYLE【4489】
2009年度 パンクブーブー【4629】
2010年度 笑い飯【4835】
2015年度 トレンディエンジェル【3472】
2016年度 銀シャリ【3503】
2017年度 とろサーモン【4094】
2018年度 霜降り明星【4640】
2019年度 ミルクボーイ【5040】
2020年度 マヂカルラブリー【5081】
2021年度 錦鯉【6017】
2022年度 ウエストランド【7261】
2023年度 令和ロマン【8540】
2024年度 令和ロマン【10330】

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『M-1グランプリ』歴代優勝者一覧
提供:oricon news