マッツ・ミケルセン、「バイバイ」のひと言で観客の心を射抜く『ライオン・キング:ムファサ』インタビュー
ディズニー映画の傑作『ライオン・キング』、そのはじまりの物語を超実写版で描く『ライオン・キング:ムファサ』の劇場公開がスタート。今月上旬、プロモーションで来日したマッツ・ミケルセンは、「ディズニー作品で歌手デビューとは、畏れ多いことでしたが、とても光栄に思っています」と語った。
【画像】マッツ・ミケルセン、撮りおろしの別カット
本作は、息子シンバを命がけで守った父ムファサ王の若き日に焦点を当てた物語。孤児であったムファサの運命を変えたのは、彼の命を奪った“ヴィラン”スカー(タカ)との幼き日の出会いだった。
血のつながりを越えて兄弟の絆でむすばれていたムファサとタカの前に現れる、冷酷な敵ライオンのキロスの声をマッツが演じている。劇中歌も歌っており、タイトルは「バイバイ」。「Bye-bye♪」というフレーズが印象的な楽曲だ。
「美しくて、頭に残りやすいキャッチ―な曲。さすが、リン=マニュエル・ミランダ。素晴らしい作曲家ですね。私もとても気に入っています」
本作は、リン=マニュエル・ミランダが書き下ろした新曲ばかり、というのも特徴の一つ。彼は、『モアナと伝説の海』や『ミラベルと魔法だらけの家』などのディズニー映画の音楽を多く手がけ、ブロードウェイでも数々の受賞歴のあるソングライターだ。
本編では、「バイバイ」のミュージカルシーンの後、キロスがせりふとして「バイバイ」と言うシーンがある。そのときの声のトーンがなんとも、憎らしいほどに色っぽい。
「あれはアドリブで足したんじゃなかったかな?たしか、バリー・ジェンキンス監督が言いだしたんだと思う。映画の大部分が出来上がってきたところで、監督が思いついたことだったと思う。劇中歌のフレーズを引用した、ちょっとしたいたずら(笑)。でも、それでより面白くなったね。
じつはこの作品に関しては、2年くらいの間に4、5回、収録に呼ばれたんだ。映像が変われば、声の演技も変わる。逆に、声の演技からインスピレーションを受けて、映像が変わることもある。そうやってブラッシュアップしていったんです。
以前、『モンスターズ・インク』のデンマーク版声優をやったことがあって、その時はオリジナルに近づけることを心がけていたけれど、今回は新作だかったら、映像制作のプロセスによりクリエイティブな形で参加できて、より思い入れの強い作品になりました。
この超実写版は完成するまでどうなっているのかわからなかったから、監督を信じるしかなかったんだけど、完成版を観た時は、自分が携わっていることを忘れて映画に没入してしまいました。本当に映像も音楽も素晴らしい作品だと思います」。
さらに、完成した作品を見て、「シェイクスピアの物語のようだと思った」とマッツは言う。
「自分の身の回りに、ムファサやタカのような特徴を持った人がいるんじゃないでしょうか。キロスのような極端な人はいないかもしれないけれど(笑)、彼に付き従う連中にとっては、彼がのけ者であるということが最大の魅力なんです。キロスはとても小さな子どもだった頃に、群れから追い出されました。そして、同じ境遇にいるライオンたちを利用することで、攻撃的なライオンの一団を作り上げた。キロスたちのように、のけ者同士が団結することってありますよね。
群れの中で臆病者だと思われたくないタカ(後のスカー)の気持ちも理解できるからこそ、心が痛む物語になっていました。それは、シェイクスピアの物語にも描かれていることです。21世紀であろうと、14世紀であろうと、人間的な特徴として認識できるものがあるんです。それを新しい物語にするのがディズニーはとてもうまい。生と死、兄弟、没落していく王、栄華を極める王、そして、ここでは彼らが言うところの『サークル・オブ・ライフ(生命の連環)』。シェイクスピアのような映画だと思いました」
最後に、多方面で活躍中のマッツに、理想の働き方を聞いた。
「概ねやりたいことをやってきましたが、何か特定のものを探しているわけでもありません。今まで考えたこともないようなことでも、突然 『わぁ、面白い』と思うかもしれないんです。だから、理想的な念願のプロジェクトというのはありません。監督の野心が、僕の野心にもなります。私は挑戦することを恐れず、飛んでみるタイプだと思います」
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血のつながりを越えて兄弟の絆でむすばれていたムファサとタカの前に現れる、冷酷な敵ライオンのキロスの声をマッツが演じている。劇中歌も歌っており、タイトルは「バイバイ」。「Bye-bye♪」というフレーズが印象的な楽曲だ。
「美しくて、頭に残りやすいキャッチ―な曲。さすが、リン=マニュエル・ミランダ。素晴らしい作曲家ですね。私もとても気に入っています」
本作は、リン=マニュエル・ミランダが書き下ろした新曲ばかり、というのも特徴の一つ。彼は、『モアナと伝説の海』や『ミラベルと魔法だらけの家』などのディズニー映画の音楽を多く手がけ、ブロードウェイでも数々の受賞歴のあるソングライターだ。
本編では、「バイバイ」のミュージカルシーンの後、キロスがせりふとして「バイバイ」と言うシーンがある。そのときの声のトーンがなんとも、憎らしいほどに色っぽい。
「あれはアドリブで足したんじゃなかったかな?たしか、バリー・ジェンキンス監督が言いだしたんだと思う。映画の大部分が出来上がってきたところで、監督が思いついたことだったと思う。劇中歌のフレーズを引用した、ちょっとしたいたずら(笑)。でも、それでより面白くなったね。
じつはこの作品に関しては、2年くらいの間に4、5回、収録に呼ばれたんだ。映像が変われば、声の演技も変わる。逆に、声の演技からインスピレーションを受けて、映像が変わることもある。そうやってブラッシュアップしていったんです。
以前、『モンスターズ・インク』のデンマーク版声優をやったことがあって、その時はオリジナルに近づけることを心がけていたけれど、今回は新作だかったら、映像制作のプロセスによりクリエイティブな形で参加できて、より思い入れの強い作品になりました。
この超実写版は完成するまでどうなっているのかわからなかったから、監督を信じるしかなかったんだけど、完成版を観た時は、自分が携わっていることを忘れて映画に没入してしまいました。本当に映像も音楽も素晴らしい作品だと思います」。
さらに、完成した作品を見て、「シェイクスピアの物語のようだと思った」とマッツは言う。
「自分の身の回りに、ムファサやタカのような特徴を持った人がいるんじゃないでしょうか。キロスのような極端な人はいないかもしれないけれど(笑)、彼に付き従う連中にとっては、彼がのけ者であるということが最大の魅力なんです。キロスはとても小さな子どもだった頃に、群れから追い出されました。そして、同じ境遇にいるライオンたちを利用することで、攻撃的なライオンの一団を作り上げた。キロスたちのように、のけ者同士が団結することってありますよね。
群れの中で臆病者だと思われたくないタカ(後のスカー)の気持ちも理解できるからこそ、心が痛む物語になっていました。それは、シェイクスピアの物語にも描かれていることです。21世紀であろうと、14世紀であろうと、人間的な特徴として認識できるものがあるんです。それを新しい物語にするのがディズニーはとてもうまい。生と死、兄弟、没落していく王、栄華を極める王、そして、ここでは彼らが言うところの『サークル・オブ・ライフ(生命の連環)』。シェイクスピアのような映画だと思いました」
最後に、多方面で活躍中のマッツに、理想の働き方を聞いた。
「概ねやりたいことをやってきましたが、何か特定のものを探しているわけでもありません。今まで考えたこともないようなことでも、突然 『わぁ、面白い』と思うかもしれないんです。だから、理想的な念願のプロジェクトというのはありません。監督の野心が、僕の野心にもなります。私は挑戦することを恐れず、飛んでみるタイプだと思います」
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