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2024年11月28日(木)

中村獅童、母の思いが詰まった『あらしのよるに』に息子2人が参加 “自分は自分らしく”のメッセージが「心の支えになれば」

『あらしのよるに』への思いを語った中村獅童 (C)ORICON NewS inc.
『あらしのよるに』への思いを語った中村獅童 (C)ORICON NewS inc.
 歌舞伎俳優の中村獅童(52)、尾上菊之助(47)が8日、都内で東京・歌舞伎座の「十二月大歌舞伎」第一部『あらしのよるに』(12月3日から26日まで)の取材会を開いた。

【写真】かっこいい!『あらしのよるに』がぶ役を務める中村獅童

 同名ロングセラー絵本を原作に、歌舞伎の古典演出や技法を取り入れ、オオカミのかぶとヤギのめいの種族を超えた友情を描く感動作。原作の発刊30周年を迎える今年、12月の歌舞伎座で再び『あらしのよるに』の上演が決定した。2015年の初演から、がぶ役を勤めてきた獅童、めい役を初役で勤める菊之助を中心に、絵本の世界を最大限に表現する。

 『あらしのよるに』は獅童の最愛の母・小川陽子さん(享年73、2013年に死去)の思いも詰まっている。「2003年だったと思うんですけど、『テレビ絵本』というNHK Eテレの読み聞かせの番組で全動物の声をやらせていただいたのがこの作品との出会いだったんです」と振り返る。

 陽子さんと『義経千本桜(四の切)』の話になり「『あらしのよるに』もすぐに歌舞伎にできるね」という会話をしたそう。「そこはするうちに母は亡くなってしまって。で、2015年に南座で『獅童で何か』という時に、演目どうしようかとなった。『せっかくだから母と話していた、あらしのよるにをやらせていただけたら』ということで始まったんです。京都というのは母のふるさとでもございます。そこで『あらしのよるに』ができたらなって。自分が企画を立ち上げてやったようなつもりでいたんですけど、初日の前日に松竹の方に呼ばれて、何か叱られるのかなと思ったら『実は2003年にお母様が手書きの企画書を持って、いつか獅童が責任興行を打てるような役者にもしなれたら、これをいつかやらしてやってほしいと』。亡くなった後で少しは親孝行できるかなという気持ちでいたんですけど、またもや母に助けられたという」としみじみと振り返った。

 長男である中村陽喜(6)、次男である中村夏幹(4)も、幼いころのめい、幼いころのがぶを勤める。獅童は「そんな思い入れがある作品に、今度は自分の息子が出演するなんて。作った当初は当然、陽喜も夏幹も生まれてませんでしたから。この作品のテーマは、せりふもあるんですけど『自分は自分らしく、自分を信じて生きていく。そうすればあなたを信じてくれる友だちができる、仲間ができる』。要するに私が演じるがぶというのは、いじめられっ子で、誰にも相手にされなくて、ちょっと気が弱くてお人好しのオオカミ。めいと出会うことによって、彼自身も成長していくんです。テーマである、相手を思う気持ちだったり、自分を信じる気持ちは、まさしく私が20代でまだまだ歌舞伎のお役がつかない時代に、母に言われていたことなんです。『あなた、自分を信じなさい。あなたならできる」って。それがどれだけその自分の未来に向かって歩んでいく上での心の支えとなる勇気となったか。『あなたはあなたらしく』というのは、特に弟の夏幹には、その作品のテーマ性というものが、今はまだわからないかもしれないですけど、大人になる上で、そういうメッセージ性のある作品に出たということで、彼がこれから生きていく上での、どこか勇気みたいなものにつながってくれたらうれしいなって」とする。

 本来は、がぶだけの予定だったが、幼いころのがぶに大事な言葉をかける、がぶの父も獅童が勤めることに。「獅童さんがやった方がいい」と強く勧められたそうで、獅童は「僕は、がぶ一役のつもりだったんですけど、皆さんがそうおっしゃるので。父親役もやらせていただきます」と明かしていた。

 さらに「5回目なので、これだけやらせていただけたら、本当に10年、20年、30年、私がこの世から去った後の作品としては生き続けてほしいな」と思いも。「歌舞伎と絵本は普遍性があると思います。こういったストーリーが数多くの方たちに愛される時代になれば、もっともっと世の中がいい時代になっていくのではないかなというような思いも込められているんです」と熱い思いを伝えていた。

■『あらしのよるに』
ある嵐の夜、真っ暗闇の山小屋で偶然出会った狼のがぶと山羊のめい。2匹は、お互いの素性を知らぬまま夜通し語り合い、「あらしのよるに」を合言葉に再会を誓う。嵐の過ぎ去った翌日、がぶとめいはお互いの姿を見てびっくり。がぶは山羊が大好物だが、めいが言ってくれた「友だち」という言葉がうれしく、山羊が大好物ということを隠して、2匹は友情を育んでいく。

 一方、狼のぎろは自分の片耳を食いちぎった山羊に深い恨みをもっている。不思議の術を会得したおばばから片耳が元に戻る方法を教わり、がぶと一緒にいるめいを襲うが、がぶはめいをかばって囚われの身となってしまう。めいはがぶを助けようとし、その前にぎろが立ちはだかる。そこに仲間の山羊たちが現れ、狼と山羊が入り乱れての争いに。争いの最中、がぶとめいは雪深い山の中まで逃げるが、ついにぎろたちに追い詰められ…。

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提供:oricon news