和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年11月05日(火)

【調査】等級が上がるにつれて「部下を知る努力」低下傾向に

ALL DIFFERENT株式会社
管理職意識調査(努力編)




累計13,000社420万人以上の組織開発・人材育成を支援するALL DIFFERENT(オールディファレント)株式会社(所在地:東京都千代田区 代表取締役社長:眞崎大輔)および人と組織の未来創りに関する調査・研究を行うラーニングイノベーション総合研究所は、2024年5月20日~7月17日、当社の管理職向け研修の受講者415名を対象に「管理職意識調査」を行いました。本レポートでは、管理職の成長や努力に焦点を当てた結果を公表します。

〈背景〉
近年、働き方の多様化やDXへの対応など、ビジネス環境の変化に伴い、管理職業務が複雑化・高度化していると言われています。当社で実施した調査結果*1によると、約8割の管理職が、求められることが10年前と比べて変化したと回答しています。そこで、当社は仕事の難易度が高まる管理職の実態を調査すべく、「悩み・課題」「部下育成」「部下へのフィードバック」と三つのテーマに分けてレポートを公表してきました*2。半数以上の管理職が「部下の育成」に最大の悩みを抱え、その悩みを抱える場面は、役職や経験値により異なることが明らかとなりました。

今回は、管理職が自身の役割を果たし、成長するためにどのような努力をしているか、また成長するために会社へ求める支援は何かをまとめました。



*1 求められる管理職像の変化に関する調査 
 https://www.all-different.co.jp/download/all/news_20220222.pdf

*2 管理職意識調査
 悩み・課題編 https://www.all-different.co.jp/download/all/news_20240905.pdf
 部下育成編 https://www.all-different.co.jp/download/all/news_20240917.pdf
 部下へのフィードバック編 https://www.all-different.co.jp/download/all/news_20240926.pdf

■調査結果の概要
・約8割の新任管理職は、課題を感じることが「とてもよくある」「よくある」と回答
・管理職の役割を果たすため、新任ほど「観察力」「聞く力」の強化に取り組む結果に。幹部候補は「経営方針への理解」も重視
・自身の知識・スキルを伸ばす努力、新任「周囲へ助言を求める」、経営幹部「新たな取り組みへの挑戦」が突出
・会社からの成長支援、「経営層・上司」とのコミュニケーション機会や「自己学習機会」を求める傾向に


■調査結果の詳細
約8割の新任管理職は、課題を感じることが「とてもよくある」「よくある」と回答
本レポートでは、課長クラス以上の管理職(以下「管理職」と記載)のうち、1~3年目の課長クラスを「新任管理職」、4年目以上の課長クラスを「ベテラン管理職」、部長クラスを「幹部候補」と三つのステージに分類し、ステージ別に比較をしていきます。


はじめに、管理職としての役割を果たす中で、課題を感じることがどれほどあるか、実感度合いを質問しました。

結果、「とてもよくある」「よくある」と回答した割合は、新任管理職では79.1%、ベテラン管理職では64.7%、幹部候補では53.0%となりました。ステージが低い管理職ほど、自身の役割に対して課題を感じやすいことがわかりました。(図1)



管理職の役割を果たすため、新任ほど「観察力」「聞く力」の強化に取り組む結果に。幹部候補は「経営方針への理解」も重視
管理職としての役割を果たすために努力していることを質問しました。

結果、新任管理職では「部下のことをよく観察する」「聞く力を強化する」と回答した人が最も多く、53.6%でした。次に「部下の強み・弱みを知る」が51.8%と続きました。

ベテラン管理職では、「部下の強み・弱みを知る」が54.3%、「部下のことをよく観察する」が45.7%、「聞く力を強化する」が43.1%と続きました。

幹部候補では、「部下の強み・弱みを知る」が47.0%、「部下のことをよく観察する」が43.9%、「経営の方針を深く理解する」が42.4%と続きました。

各ステージ共通して、部下への理解に関心が向いており、その割合は、ステージが低い管理職ほど高いことがわかりました。また、管理職の経験を積むにつれて、経営方針や競合他社への理解を深めようという姿勢が高まる様子も見受けられます。(図2)



自身の知識・スキルを伸ばす努力、新任「周囲へ助言を求める」、経営幹部「新たな取り組みへの挑戦」が突出
次に、自身の知識・スキルを伸ばすために努力していることを質問しました。

結果、新任管理職は「経営陣・上司・同僚に助言を求める」と回答した割合が54.5%となり、他ステージに24ポイント以上の差をつけ、突出する結果となりました。次に、「新しい知識・スキルを習得するためにセミナーを受講する」が36.4%、「社内の関係者と積極的に関係性を構築する」が31.8%と続きました。

ベテラン管理職は「新しい知識・スキルを習得するためにネットメディアを閲覧・視聴する」が37.9%、「新しい知識・スキルを習得するために書籍・雑誌・新聞を読む」「自身の現在の知識・スキルについて把握する」が同等の割合で33.6%と続きました。

幹部候補は「新しい仕事の取り組み方を積極的に試す」が40.9%となり、他ステージよりも19ポイント以上高い結果となりました。次に、「新しい知識・スキルを習得するためにネットメディアを閲覧・視聴する」が37.9%、「新しい知識・スキルを習得するために書籍・雑誌・新聞を読む」が36.4%と続きました。(図3)



会社からの成長支援、「経営層・上司」とのコミュニケーション機会や「自己学習機会」を求める傾向に
最後に、成長の役に立った会社からの支援について質問しました。

新任管理職は「上司とのコミュニケーションの機会」が40.0%、「eラーニング等、自己学習制度」が31.8%、「会社からの役割や期待の伝達」が27.3%となりました。

ベテラン管理職は「上司とのコミュニケーションの機会」が33.6%、「eラーニング等、自己学習制度」が28.4%、「職場の雰囲気・文化」が23.3%となりました。

幹部候補は「eラーニング等、自己学習制度」が40.9%、「経営層とのコミュニケーションの機会」が39.4%、「上司とのコミュニケーションの機会」「上司との定期面談」が同等の割合で34.8%となりました。

他ステージと比較すると、幹部候補では「eラーニング等、自己学習制度」「上司との定期面談」「経営層とのコミュニケーションの機会」「ジョブローテーション」「キャリア支援制度」が突出しました。(図4)



■まとめ
本調査結果より、ステージが低い管理職ほど、管理職としての役割を果たす中で課題をよく感じていることがわかりました。その課題を克服するために、新任管理職は部下をよく観察したり、相手の言葉をきちんと聞き取る力(聞く力)を伸ばす努力をしていることがわかりました。自身の知識・スキルを伸ばすためには、独学よりも、経営陣・上司・同僚など、周囲に助言を求めることを重視していることもわかりました。成長の役に立った会社からの支援についても「上司とのコミュニケーションの機会」と回答した人が多く、新任管理職では上位階層と交流を通じ、視座を高めて成長していきたい様子が見受けられました。

ベテラン管理職においては、管理職としての役割を果たすために、部下の強み・弱みを知る努力をしている傍ら、自身の知識・スキルを伸ばすために、ネットメディアや書籍・雑誌・新聞からの情報収集や、自身の知識・スキルを把握することで、俯瞰した視点を持つ努力をしている様子も見受けられました。

幹部候補は、他ステージよりも課題を感じる機会が少なく、部下を知ろうとする意識が薄いことが特徴でした。一方、自身の役割を果たすために、経営方針を深く理解することで視座を高めたり、新しい仕事の取り組み方を積極的に試すことで自ら変化に対応する環境に身を置く努力をしていることもわかりました。
■CLM(最高育成責任者)の考察
管理職の役割は、そのステージに関わらず「継続的に組織の成果を創出すること」です。成果を創出するためには、メンバーの課題に向き合うだけでなく、管理職も自身の課題を適時適切に把握し、成長に向けて努力する必要があります。

しかし、今回の調査結果から、管理職はステージが上がるにつれ、自身の課題への実感度が低くなることが明らかになりました。これは、ステージが高い管理職ほど課題を克服できているとも捉えられますが、周囲からのフィードバックを受ける機会が減り、自身の課題を認識しづらくなっているとも考えられます。管理職は、意識的に自身を客観視(メタ認知)し、課題と向き合わなければ、管理職自身、ひいては組織の成長を停滞させてしまいます。

企業側は、管理職本人の自助努力だけに頼るのではなく、組織として管理職の成長を促進するため、管理職が自身の課題と向き合う機会や、課題解決のために学ぶ場を提供する必要があります。例えば、管理職が経営層や上司と対話できる場を設ける取り組みは、管理職の視座を高めたり、自身の役割を改めて認識してもらうことにつながり、課題に気づく有効な解決策になり得ます。

一方、上記取り組みのみでは、変化するまでに時間を要します。中でも、幹部候補は特に変化への抵抗が強い傾向があります。これは、前述した自己認識の不足だけでなく、「既存の成功体験による固執」や「責任の重さによるリスク回避」、「同じ立場の仲間がいない、もしくは少ないことによる孤立感」などが原因であると推察します。これらを克服するために、幹部候補が一堂に会し、継続的に交流する場を設けることを推奨します。例えば、会議の一部をメンタリングセッション*、あるいは学習セッションにするなどの取り組みも有効です。定期的に集う会議の場こそ、工夫次第で有用な組織開発の場になるでしょう。

*メンタリングセッション:メンターとメンティが対話の中で一緒に課題を解決しようとする手法


事業会社を経て、2010年にALL DIFFERENT株式会社(旧トーマツイノベーション株式会社/株式会社ラーニングエージェンシー)に入社。コンサルタント業務・講師業務を通じ、年間100~150社ほどの組織開発・人材育成を支援する傍ら、社内の育成責任者としても活動。大阪支社の立ち上げに参画し、営業リーダーとして年間目標達成に導いた後、本社にてコンテンツ開発業務に従事。中堅・大企業向けコンサルティング事業部門の責任者を歴任。日本経済新聞、NHKなどメディア出演多数。
ALL DIFFERENT株式会社
事業開発推進本部 シニアマネジャー
開発室 室⾧
CLM(最高育成責任者)
根本 博之(ねもと・ひろゆき)




■調査概要


*本調査を引用される際は【ラーニングイノベーション総合研究所「管理職意識調査(努力編)」】と明記ください
*各設問において読み取り時にエラーおよびブランクと判断されたものは、欠損データとして分析の対象外としています
*構成比などの数値は小数点以下第二位を四捨五入しているため、合計値が100%とならない場合がございます

ラーニングイノベーション総合研究所
人と組織の未来創りに関する様々な調査・研究活動を行っている当社研究機関。データに基づいた組織開発に関する解決策を提供。

ALL DIFFERENT株式会社
組織開発・人材育成支援を手掛けるコンサルティング企業。
人材育成から、人事制度の構築、経営計画の策定、人材採用までの組織開発・人材育成の全領域を一貫して支援。

《沿革》
2006年 トーマツイノベーション株式会社として人材育成事業を開始し、業界初や特許取得のサービスを多数開発・提供
2019年 株式会社ラーニングエージェンシーとして、デロイトトーマツグループから独立
2024年 ALL DIFFERENT株式会社へ社名変更

代表取締役社長 眞崎 大輔
本社所在地   〒100-0006 東京都千代田区有楽町2-7-1 有楽町 ITOCiA(イトシア)オフィスタワー 15F(受付)・17F・18F
支社      中部支社、関西支社
人員数     316名(2024年4月1日時点)
事業      組織開発支援・人材育成支援、各種コンテンツ開発・提供、ラーニングイノベーション総合研究所による各種調査研究の実施
サービス    定額制集合研修「Biz CAMPUS Basic」/ライブオンライン研修「Biz CAMPUS Live」/ビジネススキル学習アプリ「Mobile Knowledge」/ビジネススキル診断テスト「Biz SCORE Basic」/IT技術習得支援サービス「IT CAMPUS」/デジタルスキル習得支援サービス「DX CAMPUS」/管理職アセスメント「Discover HR」「Competency Survey for Managers」/人事制度構築支援サービス「Empower HR」
経営計画策定支援サービス「Empower COMPASS」/転職支援サービス「Biz JOURNEY」ほか
URL       https://www.all-different.co.jp/corporate
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