和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年10月21日(月)

「目も見えず耳も聞こえない」フラフラの老犬を保護、懸命なケアに大反響「“終生飼育”をするという覚悟を持って」

保護当初のアンジィ(画像提供@vega646464)
保護当初のアンジィ(画像提供@vega646464)
 推定年齢15歳の犬を保護したというSNSの投稿が話題となり、「素敵なおうちができて良かったね〜」「優しい方に保護されて良かった」などの声が寄せられた。投稿したのは、自身も2匹の保護猫を飼っているというマダム・デコ(@vega646464)さん。改めて保護した経緯や、現在の犬の様子について聞いた。

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■「彼の心が知りたい…」、懸命にケアする保護主さん

 保護の経緯はマダム・デコさんが、住宅街の道で頭を地面に擦り付けるように佇んでいる犬を見かけたことだった。夫と相談して病院に連れて行き、1日入院して検査した結果「目は見えず、耳もおそらく聞こえていない。頭が曲がっているのと、立ってもフラフラしているのはおそらく脳障害があるだろう」と診断されたが、家に連れて帰った。現在は、「アンジィ(アン爺)」と名前をつけてケアをしている。

――現在アンジィは、どのようなご状況でしょうか。

「動物病院では歩けないと言われましたが、立ち上がってフラフラと数歩歩くことはあります。しかし、頭は相変わらず地面にこすりつけるような形に曲がったままです。小屋に入れてあげてもコンクリートの部分に出てきて寝ころんだままで排尿や排便をし、その上に寝るので体に付いて汚れます。

 お風呂で何度かシャンプーをしましたが、すぐ体が糞尿で汚れてしまうので、オムツを検討して今、いろいろ調べています。汚れた体は水のいらないシャンプーをしたり、お湯で拭いたりしています。ご飯はよく食べます。ただ、うなったり、尻尾を振ったり、そういう意思表示が全くないのです。脳障害のせいなのか、認知症なのか、心を閉ざしてしまっているのか、精神は虚無の世界にいるのか…彼の心が知りたいです」

――アンジィを保護するとなった投稿には多くの反響があり、たくさんのコメントが寄せられています。あらためてどのように感じますか?

「たくさんの人が大変心配をしてくださり、アドバイスもいただきました。こんなにも動物に対して心を寄せてくださる人がいるなんて、まったく想像もしていませんでした。大変感激し、感謝しております。

 犬を飼ったことがなかったので、大変心強かったです。レスキューをしたり寄付をしたりすることは、お気持ちがあってもなかなかできないことは重々承知しております。そのお心を大切にしていただき、持ち続けていただくことを心から願います」

■“終生飼育”は当たり前、飼いたいと思ったら「覚悟と責任を持って」

――元々ペットであっただろう動物を保護した、というニュースを頻繁に見かける昨今です。マダム・デコさんも猫を飼われています。これから動物を飼いたいと思っている人へ向けて、心構えなどアドバイスはありますか。

「動物と暮すということは、この上ない幸せな時間、充実した人生を与えてくれる、と私は思っています。同時に、終生飼育ということは当たり前で初歩の初歩であり、彼らには自分たちと同様の幸せな時間や愛情、環境を与えるという義務とも言うべき覚悟と責任が発生すると考えています。大袈裟でしょうか?

 アンジィを保護してから、インスタクラムで「きずなの丘」という非営利団体の保護施設で保護された『やまじい』という15年愛情を受けずに飼われていた犬のことを知り、大変ショックを受けました。終生飼育を望みます、では全くだめだということを痛感しました。 

 動物、ペットも人間同様老い、病気にもなります。健康な時もワクチン等の費用もありますし、食事代、ペットシーツなど諸々の費用がかかります。ペットにかかる費用を捻出し、その費用が減ることがないように。もしそのような場合になっても、自分用のお金をそちらに回す覚悟が必要だと思っています。

 今回、アンジィを保護して検査&1泊入院の病院代金は22,000円でした。フードや、仮住まいの小屋作りのために色々購入しましたし、今後もワクチンなど、費用は必要でしょう。3ヵ月経って飼い主が現れない場合は、終生お世話をする覚悟です」

――ご自身で飼われている2匹の猫は、どのような経緯で飼われたのですか。

「今は2匹ですが、猫は5匹いました。どの猫も、行きがかり上、保護してしまった猫たちです。彼らも動物病院にはよく通いました。2週間ごとの点滴や、新しい手術法なども試し、できるだけのことをしたつもりです。そういう金銭的な負担があることをよく理解した上で、愛情をかけ、彼らにとって快適な飼育をお願いしたいと心から願っています」

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提供:oricon news