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2024年09月23日(月)

山下智久に水嶋ヒロ…ヘアトレンドの象徴だったメンズパーマの現在、単なる“オシャレ”から“コンプレックスの解消”まで網羅

美容室GOALD渋谷 代表・佐藤拓弥さん
美容室GOALD渋谷 代表・佐藤拓弥さん
 男性のパーマは、いつの時代もトレンドを生み出してきた。80年代には吉田栄作や福山雅治に代表される爽やかさを重視した“ふんわりやわらかいパーマ。90年代にはキムタクや江口洋介などロン毛を生かしたボディパーマ(かき上げる仕草が印象的)。2000年代には整髪料も進化し、毛先を遊ばせる系のパーマも(赤西仁や亀梨和也など、襟足を外ハネさせる)。「爽やかさ」「天然」「チャラさ」「いかつい」……様々なイメージを形作ってきた男性のパーマ。各時代のメンズパーマのトレンドやパーマが形作る印象に、どのような変遷があるのか。メンズパーマ専門の美容室GOALD渋谷の代表であり、現在のツイスト・スパイラルパーマの礎を作った美容師・佐藤拓弥さんに聞いた。

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■日本におけるパーマの歴史「おしゃれだけではなく“整える”という清潔感が重要」

 パーマが広がり始めたのは1950年代後半ぐらいからと言われている。徐々に広がり、60年代後半にはロッド・スチュワートなどの狼カットが70年代にかけて流行り、長渕剛などがその代表例だった。そのほか70年代、清水健太郎などの前髪を残したパンチパーマ、80年代から90年代は吉田栄作、福山雅治などのふんわりやわらかいパーマ、その後、木村拓哉、江口洋介などロン毛を生かしたボディパーマ。

 00年代に入るとウルフベースで毛先を遊ばせるパーマが流行り、赤西仁や亀梨和也の髪型に注目が集まったほか、ホストの台頭、韓流のトレンドなどからさまざまなスタイルが登場。現在はツイストパーマ、スパイラルパーマが主体となり、平野紫耀、コムドットゆうた、BTSジョングクなど各界隈で人気を集める著名人たちも取り入れている。「俳優さんは役によっていろいろ変化するのですが例えば斎藤工さんはずっとパーマの印象。山崎賢人さんや横浜流星さんもよくパーマをかけてらっしゃるイメージ。アーティストの方でいうとKing Gnuの常田大希さん、今は金髪ですが藤井風さんなどはパーマの参考として持ってこられるお客様が多いので、現在のパーマのファッションアイコンっぽいイメージがありますね」と佐藤さん。

 「あと個人的にはEXILE系の方々は半分ぐらいパーマの方がいらっしゃるイメージです。多分、男らしさという中で黒髪ウェーブが使われているのでしょう。パーマは男らしさのほか、中性的、色気などそれぞれニュアンスが出せます。韓国に目を向けるとナチュラル系とパーマ系の2つに極端に分かれていたんですが、まだ日本よりはナチュラル系が多いように見受けられます」(佐藤さん/同)

 佐藤さんによればパーマは発祥時より、おしゃれに加えて“整える”ことが前提にあったと言う。清潔感もそうだが「パンチパーマもシルエットが整っている。身だしなみとして発展していき、そこから柔らかさにつながる。その後00年代までは、はねさせたり、ふわっとさせるオシャレ感が強まって流れてきた印象です。スタイリング剤をつけずに作り込みすぎず、かき上げても戻って来る、といった形ですね」

■外国人の髪型の模倣から日本人向け髪型へ、芸能人の模倣から美容師が提案する髪型へ

 フォークソング時代に流行ったロン毛パーマは“外国人のくせ毛”への憧れも強かったのではないかと言う。そして80年代から徐々に、日本人と外国人の顔の骨格の違いを分析し、日本人の骨格に合わせて流行りの髪型を実現させていく、つまり“日本人らしさ”が髪型の中に生まれ始めた。「欧米人と比べて日本人は絶壁であったりはちが張っていたり、おでこが平たく横顔がフラットに見えやすいので、髪でボリュームを足す、凹凸を出すといいう進化を見せてきたのだと思います」

 さらに正面から見て“ひし形”となるシルエットがトレンドとなったのが、90年代以降。例えば木村拓哉も最初はさらさらのロン毛だったが、途中から段がつき、上は短く下が長い。毛先のズレが男らしさを印象付けるシルエットとなっていった。この時代、街はこの“ひし形”の木村拓哉カットであふれていた。さらに00年代以降、その頃からさらに“髪型を作る”という概念が広がってくる。そうなると自然と、髪型への意識の高い人とそうでない人との隔たりが生まれ始めた。別の言い方をすれば、髪型の文化が、“芸能人のマネ”から、“美容師が作るもの”にスライドしていったのだ。カリスマ美容師という言葉が生まれ、彼らが作る髪型のヘアカタログが大流行していった。

「僕的に革命だと思ったのが、山下智久さんがドラマ『ブザービート』でしていたパーマ。ウルフのシルエットで毛先にはカールが少なく、根本と中間にウェーブがある。パーマの動きや髪色も含めて、当時あのスタイルには衝撃を受けました。水嶋ヒロさんのミディアムのパーマも印象深いです。この時代、パーマは圧倒的に“スパイラルパーマ”が増えていきました。パーマが強く、毛先がくるんとしているほど柔らかさ、可愛らしさが出ますが、山下さんや水嶋さんのヘアスタイルは毛先がすっと抜け感があるので、それが男性にも合っていて格好良かったですね」

 スパイラルパーマ(ツイストパーマ)は、平成以降、形を変えつつ流行し続けているという。「強いパーマのジャンルなのですが、それに対応できるほどパーマの“薬剤”も発展してきています。以前はパーマをかけたら髪の毛が痛むという時代でした。しかし今は、薬剤の使い方、ダメージへの理解について、美容師の知識も上がっているので、強いパーマでも髪を痛めることなく実現できるようになっています」

■「メンズサロン」がここ2~3年で急増、“髪型自由”に対する意識の変化

 パーマの歴史が日本人の頭の骨格をフォローするよう変化していったと先述したが、こうしたツイストパーマ、薬剤や技術の進化により、それぞれの“個性の表出”と、“コンプレックスの解消”も可能になっている。00年代をステップにして、男性の美意識も徐々に進化し、その結果「メンズサロン」が10年頃から広まり始めた。当時は数が少なく、「都心にあるのみだったので、なかなか出向くことができない人も多かった」というが、ゆえに憧れが生まれ、そこで美容師を志した人たちが修行し、次々と「メンズサロン」を出店し始めているのが現状だという。

「あくまで、男性の身だしなみは理髪店でしか整えられない。美容院にいると、女性のお客様のなかで肩身の狭い思いをしている方も少なくなかったように思います。古くは男性があまりオシャレに寄りすぎると『チャラい』とか『男らしくない』といった世間の風潮もありました。しかし男性の美意識が肯定されていき、そこにメンズメイクや韓国トレンドが加わり、ここ数年で『メンズサロン』が一気に増えたなという印象です」

 パーマにおいては、派手すぎないオシャレという技術の進歩も相まり、社会の認識も変化しつつある。“髪色自由”を大々的に発表する企業も増え、髪型や髪の色で遊ぶことに嫌悪を抱かない意識、社会人でもオシャレなパーマで出歩く人が街に増加したように見える。またパーマのメリットはオシャレだけではない。セットしやすいので会社へ行く際の朝の身だしなみを整える時間が短縮され、余った時間を別のことにも使える。タイパにもいいのだ。

 「韓国トレンドとして、最近では韓国から『ブラックピンパーマ』というトレンドのメンズパーマスタイルを自由自在に作れるスタイリングギアが入ってきました。熱が与えられる幅が広いことが一番特徴なのですが、この技術によりゆるいカール、毛先だけを曲げるというようなこともやりやすくなり、さらには持ちがよくなった。すぐ落ちる心配がない。同時にパーマは濡れている時に一番色気が出るのですが、この熱を与える技術により、ドライでふわっとした質感なのにパサパサしない。張りやコシもある。このようにパーマは今も進化し続けているので、ぜひチャレンジしてみてほしいですね」

 ただ“再現性”の課題があるのも事実。巻き方の角度までピッタリ合わせることで、初めて同じ髪型になるので、画像を持ってきて「この髪型で」という依頼を再現するには「かなりの技術が伴う」と佐藤さん。この再現性を統一できるよう「広く、できれば全国に広げていきたい」と佐藤さんは語る。「薬剤も進化し、量が少なくても良くなってきています。またその人の好きな服のファッションの傾向など、髪型もトータルコーデで考える時代に入っている。これから5年、10年でさらに男性の髪型、パーマ、ファッション、オシャレは進化していくと想いますので、それに対応できるよう美容業界に貢献したいですね」

(取材・文/衣輪晋一 撮影/岡田一也)

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