和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年09月18日(水)

ネットの誹謗中傷“顔の見えない相手”と戦った5年間、法改正進んでも「一時の感情に任せて攻撃的になる人が増えた」

ネットでの誹謗中傷に5年間苦しんだmoroさんに話を聞いた※『誹謗中傷犯に勝訴しました ~障害児の息子を守るため~』(竹書房)
ネットでの誹謗中傷に5年間苦しんだmoroさんに話を聞いた※『誹謗中傷犯に勝訴しました ~障害児の息子を守るため~』(竹書房)
 自閉スペクトラム症の息子さんについて、ブログで発信していたmoroさん。1件のメッセージをきっかけに、炎上被害に遭い、誹謗中傷犯と5年間戦うことに…。壮絶な経験をした彼女は、今のネット社会についてどのような想いを持っているのか。

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■まっとうな批判やセーフだと思う発言が「相手を傷つける内容になっている」

 近年、ネットでの誹謗中傷は人権侵害や社会問題として深刻な問題となっている。それらの流れを受け、2001年にはプロバイダ責任制限法が施行された。さらに2022年に同法が改正さたことで、SNSで誹謗中傷した人物を速やかに特定できるように。とはいえ、誹謗中傷がなくなる流れにはなっておらず、永遠に消えないデジタルタトゥーとして精神的苦痛を抱えている人も少なくない。

 moroさんは、息子さんへの虚偽情報が書き込まれたことをきっかけに、誹謗中傷への対処を決意。炎上は息子さんの学校特定や、学校・教育委員会を巻きこむところまでエスカレートしていく。

 弁護士に相談をし、訴訟で戦うことになった。発信者情報開示請求を行ない、虚偽情報を書き込んだ人物を特定、民事訴訟を提起。同時に、警察に被害届を提出し、事件として立件され、加害者は書類送検された。顔の見えない相手と戦った5年間を「本当につらかった」と語るmuroさん。

 今では法改正も進み、誹謗中傷への社会の目も少しずつだが変化しているように感じる。訴訟も経験した彼女は現状をどう見ているのだろうか。

「一時の感情に任せて攻撃的になる人が増えたな、という印象です。主観ではまっとうな批判のつもり、ここまではセーフだと思って発言していると思うのですが、相手を傷つける内容になっているものが多い。でも自分自身の発言ではなくても、拡散に手を貸した場合でも訴えられる時代です。自分の発言には責任を持った方がいいと思います。そして、自分が言われて嫌なことは書かない」

 自身の経験をブログや漫画に描き発信している彼女。「掲示板に書かれているmoroさんに対する誹謗中傷を読んで、そのときはすっかり信じてしまっていた。これからはデマの可能性があるという事も考えて気をつけたい」という声に、「漫画で意図していることが伝わり嬉しく感じている」と話す。

「これは私も気をつけようと思っているのですが、一部の言及されている情報だけを見て先入観で『こうだ』と決めつける人も多いと感じます。後から真実が見えてきて、立場を変える人もいる。デマが多い昨今ですから、インターネットでの発言はくれぐれも慎重にならねばと思います」

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