和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月17日(火)

外来カミキリ、かつらぎで加害痕跡 紀南の梅農家も警戒

クビアカツヤカミキリの被害でモモの木の根元にたまったフラス(かつらぎ町で)=県かき・もも研究所提供
クビアカツヤカミキリの被害でモモの木の根元にたまったフラス(かつらぎ町で)=県かき・もも研究所提供
クビアカツヤカミキリの成虫(大阪市立自然史博物館提供)
クビアカツヤカミキリの成虫(大阪市立自然史博物館提供)
 梅などサクラの仲間に被害を及ぼす特定外来生物「クビアカツヤカミキリ」が加害したとされる痕跡が、かつらぎ町のモモ園などで確認された。2017年7月に初めて成虫が捕獲されて以来の確認。紀北の果樹農家だけでなく、紀南の梅農家も警戒を強めている。


 11月19日にかつらぎ町のモモ園で栽培するモモの木2本から、「フラス」と呼ばれる木くずやふんの混合物が出て根元にたまっているのを農家が見つけた。県が森林総合研究所(茨城県つくば市)にDNA分析を依頼し、クビアカツヤカミキリのフラスだと分かった。その後、モモ園の1キロ範囲内でモモやスモモ、公園や山林のサクラなどを調査した結果、計9本で同じようなフラスを確認した。成虫や幼虫は確認されていない。

 17年7月に捕獲されたのは、梅畑近くに止めた車にくっついていた雄1匹だけで、すぐに県の職員らが近隣1ヘクタールにわたって実施した調査でも他に成虫は見られず、フラスも確認されなかった。その後、県内全域で警戒を強め、園地を巡回調査するとともに情報提供を呼び掛けていた。

 新たな確認は2年4カ月ぶり。県果樹試験場かき・もも研究所(紀の川市)は「近隣の大阪府内で発生しており、県内でいつ被害が出てもおかしくない状況だった」と話す。今後、モモやスモモ、梅のほか、公園のサクラなどを中心に県やJA、市町村の担当職員らによる現地調査をさらに強化するという。

 梅栽培が盛んな紀南地方でも警戒を一層強めている。県果樹試験場うめ研究所(みなべ町東本庄)は「みなべ・田辺は梅の産地。被害があれば大変なことになる。距離があるから、山があるからといって油断はできない」といい、紀州みなべ梅干生産者協議会の山本康雄会長は「耕作放棄地が増えていることで見つけにくくなっており、監視方法が課題。なんとか水際で止めたい」と話す。早い段階での発見が重要で、情報提供を呼び掛けている。情報は、うめ研究所(0739・74・3780)や最寄りの県振興局農業水産振興課、JAなどへ。


 クビアカツヤカミキリ 成虫は体長3~4センチで、体全体に黒く、頭の下部が赤いのが特徴。6月から8月にかけて現れる。雌は幹や枝の表面、割れ目などに産卵し、ふ化した幼虫が木の中に入り込み、食害する。それにより木が衰弱したり、枯れたりする。

 被害に遭うのはサクラや梅、モモ、スモモなどバラ科が多い。

 主な分布地は中国や朝鮮半島、極東ロシアで、日本では12年に初めて愛知県で被害が確認された。15年になって和歌山県に近い大阪府や徳島県でも見つかるようになった。