和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月04日(水)

ドローンで防災力強化 市町村に活用示す、和歌山県がガイドライン

音声を放送できる「スピーカードローン」を実験するすさみ町の関係者(昨年9月、和歌山県すさみ町で)
音声を放送できる「スピーカードローン」を実験するすさみ町の関係者(昨年9月、和歌山県すさみ町で)
和歌山県田辺市消防本部に配備されている高性能ドローン
和歌山県田辺市消防本部に配備されている高性能ドローン
 災害時に市町村の対応力強化を図るため、和歌山県はドローン活用のガイドライン(指針)を策定した。災害が頻発化、激甚化している一方で、将来的には対応に当たる職員の減少が見込まれる中、対策の一つとしてドローンの活用を示している。


 元日に発生した能登半島地震では、道路の寸断で孤立した集落への医療品の輸送や、建物内部の調査などでドローンが活用された。和歌山県も同じ半島地域で、山間部が多いなど地理的条件が似ていることから、県はドローンによる空路の活用を進める。

 ドローンの災害時の活用事例として、上空からの被害状況の確認▽搭載したスピーカーを使った避難誘導▽搭載カメラによる被害情報の取得▽夜間の被災者捜索▽孤立集落への救援物資の輸送―などがある。ガイドラインでは、既に導入しているすさみ町や田辺市などの事例も交えて、運用の利点や課題を紹介。市町村には、複数の職員による「ワーキングチーム」の設置や、中高生への教育の必要性も示している。

 県によると、県内30市町村のうちドローンを導入しているのは、昨年10月の時点で16自治体。ほかに民間企業と連携しているのは6自治体で、残り8自治体は導入していなかった。

■導入や運用に補助

 県は本年度から、ドローンの導入や運用に取り組む市町村に経費を補助する。機体の配備や操縦技能の習得、体制構築の費用に対して2分の1を支援している。

 県は「実情に合わせて防災の取り組みを進め、ガイドラインを参考にドローンの運用も選択肢の一つとして検討してほしい」と話している。