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2024年12月29日(日)

空き家率全国トップ  和歌山県、総住宅数の21%

和歌山県内空き家数と空き家率
和歌山県内空き家数と空き家率
 和歌山県内の総住宅数に占める空き家の割合は21・2%で、徳島県と並んで全国最高となったことが、総務省の「住宅・土地統計調査」(速報値)で分かった。県内の空き家率は調査ごとに上昇している。県は「危機感がある」といい、引き続き所有者に活用や措置を促すなど対策を進める。


 総務省は5年ごとに調査しており、昨年10月1日時点の状況を速報値で公表した。空き家率の全国平均は13・8%。37都道府県で増加し、大阪府や滋賀県など10府県は減少した。最も低いのは沖縄県の9・3%だった。

 和歌山県内では、総住宅数49万7千戸のうち空き家は10万5千戸。前回調査の2018年より総住宅数が1万2千戸増えた一方、空き家の数も7千戸増えた。

 県内の空き家率は、以前から全国的に見て高い傾向にある。08年の空き家率は17・9%、13年は18・1%で、いずれも全国3番目、18年は20・3%で2番目に高かった。23年はさらに0・9ポイント上昇した。

 空き家は景観や治安の悪化を招くほか、放置すれば倒壊の危険性などさまざまな問題が想定される。県は所有者向けにセミナーや相談会を開くなど、対策を講じている。活用や措置の検討を促したり、相続や解体、売買などの相談に応じたりする内容で、田辺市でも5月や8月などに予定されている。

 このほか、昨年12月の法改正で新たに定められた「管理不全空き家」の対策も進める。放置すると倒壊の可能性がある「特定空き家」の前段階で、窓や壁が破損するなどしている空き家を指す。市町村の改善指導に従わないと、勧告を受け固定資産税等の軽減措置が受けられなくなる。

 セミナーや相談会の問い合わせは県建築住宅課(073・441・3184)へ。

■登録戸数が最多 空き家バンク

 空き家対策の一つとして、県や市町村は空き家の活用推進を目指して15年度から「空き家バンク」事業を実施している。

 登録した空き家をサイトに掲載して情報提供し、移住者らに売却したり貸し出したりする。

 新規登録した空き家数は、15年度は55戸だったが、23年度は過去最多だった22年度の174戸を上回る218戸となった。近年、特に空き家「掘り起こし」に力を入れていることなどが奏功したという。

 また、空き家を購入したり借りたりしたい人の新規登録者も毎年最多を更新。近年は特に、21年度221人、22年度626人、23年度769人と大幅に増えている。

 制度開始からの累計で460戸(賃貸借217戸、売買243戸)の成約につなげている。

 県の担当者は「さまざまな空き家対策の一つだが、さらに制度を周知し、相談窓口を強化するなどして利用を促進していきたい」と話している。