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2024年05月05日(日)

【中部大学】光るカタツムリが「国際軟体動物オブ・ザ・イヤー2024」受賞



その年に報告されたもっとも興味深く注目に値する軟体動物(注1)を選ぶ「国際軟体動物オブ・ザ・イヤー・コンテスト(注2)」の2024年の大賞に、中部大学応用生物学部大学院生の水野雅玖氏と大場裕一教授、タイ王国チュラロンコン大学のアーシット・ポンヨタ博士とソムサク・パンハ教授らの研究により発見された“光るカタツムリ”が選ばれました。






このコンテストの目的は、節足動物(注3)に比べて生態が十分には解明されていない軟体動物の多様性とその保護の重要性についての認識を高めることです。2021年にドイツ・フランクフルトにあるゼンケンベルグ自然史博物館(注4)(正式名:ゼンケンベルグ研究所および自然博物館)とLOEWE生物多様性トランスレーショナル生物多様性ゲノミクスセンター(LOEWE-TBG)(注5)、軟体動物学に関する国際学会Unitas Malacologicaが共同で立ち上げ、今回が4回目です。2024年3月13日から 4 月14日にかけてオンラインによる一般投票が実施され、投票総数6,263票のうち、光るカタツムリは2位に大きく差をつけて3,279票を獲得しました。

主催者の一つである研究所LOEWE-TBGが、受賞対象となった"光るカタツムリ"の全ゲノム解析(注6)を行います。軟体動物は節足動物に次いで2番目に大きい動物門ですが、完全にゲノム配列が決定されている種は比較的わずかです。全ゲノム解析することで、自然に対する適応能力などを解明する糸口がつかめます。



用語説明

注1 軟体動物
動物分類上の門の1つで、ヒザラガイ綱(多板類)・巻貝綱(腹足類)・ツノガイ綱(掘足類)・二枚貝綱(おの足類)・イカ綱(頭足類)などを含む無脊椎動物。世界に約11万種が知られ、日本には約6000種が分布する。カタツムリは腹足類に属す。軟体動物のほとんどは体の外側にかたい殻(貝殻)を持つが、頭足類のイカ・タコ・ナメクジなどは持たない。貝殻はもともと外敵から身を守るために発達した器官だが、筋肉系がよく発達し、高度な運動能力を獲得したイカやタコにとっては貝殻で身を守る必要がなくなり、かえってじゃまになるため退化させてしまったと考えられている。

注2 国際軟体動物オブ・ザ・イヤー・コンテスト
関連サイト
https://moty2024.senckenberg.science/en/

注3 節足動物
動物分類上の門の1つで、体は硬いたんぱく質を主成分とするクチクラの外骨格に覆われ、成長に伴って脱皮する無脊椎動物。体節(頭・胸・腹部)に分かれ、各節に肢が一対ずつ付く。全動物の約4分の3近くである80万種がある。クモなどの鋏角類、六脚類(昆虫類)、ムカデなどの多足類、エビやカニなどの甲殻類の4グループに分類される。

注4 ゼンケンベルグ自然史博物館
関連サイト
https://www.senckenberg.de/en/institutes/senckenberg-research-institute-natural-history-museum-frankfurt/

注5  LOEWE生物多様性トランスレーショナルゲノミクスセンター(LOEWE-TBG)
関連サイト
https://tbg.senckenberg.de/

注6 全ゲノム解析
細胞の中にあるDNA(デオキシリボ核酸)に書かれている生命の設計図(ゲノム)について、遺伝に関わらない部分も含めて全ての塩基配列と働きを調べること。人間に関しては、身体の構造や機能などの個性、病気のかかりやすさの違い、薬の効き方や副作用の違いを見つける手がかりになる。これまで診断がつかなかった病気が診断できるようになったり、病気のメカニズムの解明や新しい治療法等の開発、個人のゲノム情報に基づく病気の予防や早期発見・早期診断などにつながったりする期待されます。動物や植物の全ゲノムを解析すれば、品種改良などに役立つため農林水産業の発展に貢献する。

お問い合わせ先
【研究内容について】
大場 裕一 中部大学 応用生物学部 教授
電子メール yoba@isc.chubu.ac.jp





▼本件に関する問い合わせ先
中部大学 学園広報部広報課
TEL:0568-51-7638
メール:cuinfo@office.chubu.ac.jp


【リリース発信元】 大学プレスセンター https://www.u-presscenter.jp/



プレスリリース詳細へ https://digitalpr.jp/r/87364
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