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2024年05月04日(土)

田辺市の違法性認める 開示請求に対する遅延で和歌山地裁

和歌山県田辺市役所
和歌山県田辺市役所
 和歌山県田辺市への公文書開示請求で市が不開示とした部分の開示を求める審査を請求したのに、市が手続きを遅らせたのは違法だとして、「市民オンブズマンわかやま」事務局長の畑中正好さん(72)=田辺市天神崎=が慰謝料を求めた訴訟で、和歌山地裁(高橋綾子裁判長)は19日、市の遅延を違法とし、10万円を支払うよう命じる判決を言い渡した。

 訴状などによると、畑中さんは2020年4月と5月に、「紀州のドン・ファン」と呼ばれた故・野崎幸助さんの遺産に関する公文書の開示を請求。市は、4月分を一部開示し、5月分は全てを不開示とした。この決定を受け、畑中さんは同年9月と10月に審査を請求したが、市は22年4月まで有識者で構成する審査会へ諮問しなかった。畑中さんは22年4月に提訴。市が長期間にわたって手続きを進めなかったことへの慰謝料として20万円を求めていた。

 一方で市は、野崎さんに関することで社会的な注目度が高く、慎重な対応が求められたため、弁護士や関係部局との検討に時間が必要だったなどと主張し、請求棄却を求めていた。

 判決は、市の一連の主張を採用せず、手続きに時間がかかったことについて「それぞれの期間が相当であるかは大いに疑問」などと判断した。

 畑中さんは「迅速さを欠く市の責任を明らかにできた意義のある判決だ」と語った。市は「現時点で判決内容の詳細を把握できていないため、速やかに内容を確認し、今後の対応を検討したい」とする真砂充敏市長のコメントを出した。

 畑中さんは提訴時、市が手続きを進めなかった不作為の違法確認も求めていたが、23年9月に取り下げた。市が係争中に手続きを進め、同年8月に開示部分を大幅に広げた文書を出すと決めたため。