和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年11月22日(金)

和紙すいて卒業証書に 上山路小6年生 コウゾ収穫から体験

奥野誠さん(左)の指導で和紙をすく上山路小学校の児童=15日、田辺市龍神村安井で
奥野誠さん(左)の指導で和紙をすく上山路小学校の児童=15日、田辺市龍神村安井で
奥野佳世さん(左)に教わりながら、コウゾの繊維からちりなどを取り除く児童
奥野佳世さん(左)に教わりながら、コウゾの繊維からちりなどを取り除く児童
 田辺市龍神村東、上山路小学校の6年生5人は15日、自分たちの卒業証書となる和紙を手作業ですいた。児童は原料となるコウゾ(クワ科)の収穫や加工も体験しており、出来上がった卒業証書は3月21日の卒業式で授与される。


 同校では6年生が毎年、かつて龍神村で生産されていた「山路紙(さんじがみ)」で自分の卒業証書を手作りしている。戦後いったん途絶えた山路紙を復活させた地元の造形作家、奥野誠さんと妻の佳世さんに教わりながら、コウゾの収穫や皮むきなどの加工、紙すきをしている。

 この日は、児童が龍神村安井の「山路紙紙漉(す)き工房」を訪れて紙をすく作業をした。誠さんと佳世さんにこつを教わりながら、コウゾの繊維からちりなどの不要な物を取り除き、たたいて細かくほぐした後、卒業証書作りに挑戦。水槽に、簀(す)を挟んだ木の枠を入れて繊維をすくい上げ、前後左右に傾けて繊維を均質にし、校章も加えて自分だけの卒業証書をすいた。

 作業をした深瀬心優歩君(12)は「初めて紙すきを体験した。すくう量を調整したり、厚みを整えたりするのが少し難しかった。自分ですいた紙が、自分の卒業証書になるのはうれしい。卒業証書をもらえるのが楽しみ」と話した。

 児童は卒業証書のほか、草木染をした和紙と繊維を使ってはがきサイズの和紙などもすいた。